水増し販売は業界慣行?ロイター、NETA・ZEEKRの「台帳操作」を暴露

 7月21日付のロイター通信の報道によりますと、同社が入手した内部資料および販売店や購入者への取材に基づき、中国の電気自動車ブランドであるNETAとZEEKR(極氪)が、ここ数年にわたり販売目標を達成するために、販売台数を過大に報告していたことが明らかになりました。特にNETAに関しては、6万台以上の架空販売が行われていたとされています。

 資料によりますと、両社はいずれも、車両を実際に購入者へ販売する前に自動車保険をかけ、その時点で販売済みとして台数を計上していたとのことです。中国の自動車業界では、自賠責保険への加入が販売完了と見なされるため、この方法によって月次・四半期ごとの販売目標を前倒しで達成できる仕組みになっているといいます。こうした車両は、「ゼロキロ中古車」とも呼ばれています。

 ロイターが確認したNETAの販売記録によりますと、2023年1月から2024年3月までの15か月間で、少なくとも64,719台の車両がこの手法によって販売済みと記録されており、これは同期間に報告された11.7万台のうち半数以上を占めていたことになります。

 このような行為はNETAに限ったものではありません。ロイターが確認した販売店、購入者、ならびに販売伝票によりますと、Geely(吉利)傘下の高級EVブランドであるZEEKRも、廈門(アモイ)市の主要ディーラーである国有企業「廈門建発汽車」を通じて、2024年末に同様の方法で販売台数を前倒しで計上していたとのことです。

 あるNETAの販売店関係者はメディアに対し、次のように証言しています。「メーカーから『これらの車両はすでに保険に加入しているので、販売済みと見なす』との明確な指示がありました。私たちは購入者に『自賠責保険が無料で付いてきます』と説明するしかなく、また保険の有効期限が前倒しで始まっているため、期限が切れる前に継続手続きを行うよう促さなければなりませんでした」。

 別の販売店関係者は、NETAが2022年末からこの手法を導入した背景には、同年末で終了予定だった新エネルギー車購入補助金を確保する目的があったと説明しています。また、「現在も多くの『ゼロキロ中古車』が倉庫に山積みのまま売れずに残っています。メーカーからの指示はただ一つ、『そのままやれ。他社も同じことをしている』というものでした」と語っています。

 ロイターのこの報道は、社会的にも大きな反響を呼びました。これを受けて、ZEEKRは公式に声明を出し、同社の「ゼロキロ中古車」に関する報道は事実無根であると反論しました。ZEEKRは、調査の結果、報道に登場した車両はいずれも販売可能な展示車であり、安全確保のため自賠責保険には加入していたものの、小売用の領収書は発行されておらず、また新車としての登録やナンバープレートの取得も行われていないため、法的には未登録の新車であると主張しています。

 ロイターの報道を受けて、中国国内の複数のメディアもこれに追随し、NETAが四半期ごとの販売目標を達成するために「先に保険をかけてから販売する」という手法を常態化させ、販売店にもその実行を求めていたと報じています。一部の販売店関係者は、2023年にNETAの販売台数が急増した背景には、大量の見せかけによる販売があったと指摘しています。

 なお、NETAの親会社であるHOZON(合衆新能源)は、現在深刻な財務難に直面しており、最近になって投資家の予備募集公告を公表し、正式に破産再建手続きに入ったところです。しかしながら、企業の存続がかかったこのプロセスにもかかわらず、報道によりますと関心を示した投資者はわずか3社にとどまっているとのことです。

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