「ゼロキロ中古車」の横行に規制当局が警戒、工業情報化省は「登録から6カ月以内の譲渡禁止」新規則を検討

中国自動車工業協会(CAAM)の公式メディア「AutoReview(汽車縦横)」が7月19日に報じたところによりますと、最近社会的な関心を集めている「ゼロキロ中古車」問題に対して、中国政府の関係部門がすでに注目し、対応を進めているとのことです。

同報道によりますと、工業情報化省は「新車登録から6カ月以内は中古車としての譲渡を禁止する」政策の導入を検討しており、転売による利ざやを制度的に封じる狙いがあるとされています。また、中国自動車流通協会(CADA)も、中古車輸出に関する唯一の識別コード制度の構築を推進する方針です。さらに、Chery(奇瑞汽車)やBYDなどの自動車メーカーは、販売店による違法な登録行為に対して、すでに責任追及の仕組みを導入しています。

本報道では、「ゼロキロ中古車」が市場に溢れている具体的な実態についても紹介されています。情報源となっている「AutoReview」はCAAMの関連メディアであるため、その内容には一定の信頼性があり、この問題の現状を理解するうえで有用とされています。

まず、同報道はCADAのデータを引用し、2024年の中国国内中古車市場において「登録から3カ月以内・走行距離50km以下」の車両が全体の12.7%を占めており、そのうち6割以上が新エネルギー車(NEV)であったと指摘しています。

また、記者が複数の中古車取引プラットフォームを条件検索したところ、この種の「ゼロキロ中古車」は現在のほぼすべての主流ブランドを網羅しており、新車価格よりも15〜20%低い価格で販売されていることが判明しました。なぜこれほど多くの「ゼロキロ中古車」が市場に流入しているのかについて、記者は独自に調査を行っています。

その調査によりますと、「ゼロキロ中古車」の問題は国内市場にとどまりません。近年、一部の自動車販売業者が新車と中古車の定義の曖昧さを突き、新車を中国国内で登録した後、「中古車」として海外に輸出し、輸出関税の回避や税制優遇措置を受ける行為が横行しているとのことです。

2024の中国・ロシア間の中古車貿易を例に取りますと、一部の自動車業者は、中央アジアの一部の国々とロシアの間で実施されている「個人向け自動車購入の優遇措置」や「低関税での通関」政策を利用し、「迂回輸出」という手法を用いておりました。これらの業者は、まず国内で新車にナンバープレートを登録して、それを形式上「中古車」に変更し、その後、中央アジア諸国を経由してロシアへと輸出しておりました。

このようにすることで、業者は中国国内における中古車輸出の輸出還付政策の適用を受けつつ、新車輸出にかかる正規の関税を回避し、簡単に差額の利益を得ることができておりました。しかしながら、このような行為は自動車の輸出入秩序を著しく乱すものであり、関係国の税制政策や市場の公正な競争環境に深刻な影響を及ぼしております。

さらに、これらの輸出車両の一部は、海外で短期間滞在した後、再び中国国内に逆輸入され、新車よりも約15%安い価格で再販されています。これにより中古車市場の価格帯がさらに圧迫されているのです。たとえば、東南アジアに輸出されたあるコンパクトプラグインハイブリッドSUVは、現地市場での販売が伸び悩んだために逆輸入され、中国国内の新車価格体系を大きく揺るがす結果となっています。

また、一部の悪質な業者は「旧車から新車への買い替え補助」政策の抜け穴を利用し、「ゼロキロ中古車」を偽って旧車として申告し、1.5万〜2万元(約30〜40万円)の補助金を不正に受け取っています。山西省では、ある業者がわずか1カ月で100万元を超える補助金をだまし取ったケースも報告されています。

さらに悪質な例としては、一部の業者がOBD機器を使用して車載コンピューターの走行距離データを改ざんし、実際には1万2,000キロ以上走行している車両を「0キロ車」として販売している事例も確認されています。

報道は、「ゼロキロ中古車」の蔓延は、新エネルギー車市場の転換期に生じた歪んだ副産物であり、決して自動車メーカーによる「利ざや獲得のためのゲーム」と化してはならないと警鐘を鳴らしています。多くの企業は、「内部登録→販売→名義変更」という形で「ゼロキロ中古車」を量産し、ブランド価値を消耗させるとともに、市場の健全な秩序を大きく損なっていると指摘されています。

現在、すでに一部の自動車メーカーでは、数百項目に及ぶ厳格な検査、延長保証、専用サービスを備えた公式認定中古車制度を立ち上げており、これによって従来「非標準品」とされていた中古車が「標準品」として再定義され、顧客の再購入率向上にもつながっています。

報道は最後に、こうした公式認定中古車制度の整備や、関連する監督管理政策の実施、さらには消費者の認識向上が進めば、「ゼロキロ中古車」という現象は最終的に根絶される可能性があるとし、それまでの間は業界関係者が一致団結して取り組む必要があると結んでいます。

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