ネット配車の参入障壁一部緩和へ?
C2C、B2C、ポータル型ネット配車APP……ネット配車市場が新たなビジネスモデルによる競争を迎えるにつれ、ネット配車市場の構造が変化しつつあり、各地の厳しいネット配車参入障壁が緩み始めている。
今年6月、黒竜江省大慶市は初めて登録制から届出制を導入した都市となり、オンライン配車は運営車両に登録し直すが必要がなく、また車種の制限もなくなった。3年前から適用されてきたオンライン配車運営管理の諸規定が破られた。
届出制を実施した後、オンライン配車車両を運営車両に登録変更の必要はないが、定期的に安全検査を行い、5年以内に毎年1回、5年以上の場合は半年ごとに検査を行う必要がある。
注目すべきは、これまでに全国で15都市がネット配車管理弁法を改正し、そのうち複数の都市が車両のスペック審査基準を下げている。
2018年5月、安徽省蕪湖市はネット配車と巡回タクシーの具体的なスペック審査基準を廃止し、「ホイールベース、排気量は市街地の主流巡回タクシー以上」というあいまいな基準に修正した。広東省汕尾市では、車両の排気量を1.8Lから1.6Lに、ホイールベースを2600mmから2500mmに見直した。2019年4月、福建省福州市は新エネ車の参入障壁を引き下げ、ホイールベースを2650mmから2610mmに引き下げた。深セン市は、新規ネット配車を全て電気自動車と規定したうえ、旧基準にあるガソリン車基準を削除した。
今年8月8日、「国務院弁公庁のプラットフォーム経済の健全な発展促進に関する指導意見」は、関連地域におけるオンライン配車政策の実施状況を評価し、参入条件、審査プロセスを簡素化・改善し、プラットフォーム経済への参加プロセスを加速するよう呼びかけた。
規制緩和の裏には、タクシー市場の輸送力の長期的な不足がある
中国情報通信研究院政策と経済研究所がこれまでに行った全国オンライン配車市場調査によると、2018年7月時点で、配車管理規定に合ったネット配車数は17万台で、ネット配車総台数の0.54%のみ、規定に合ったドライバーの数は34万人で、ドライバー全体の1.1%しか占めていない。近年、プラットフォームからのインセンティブは減少の一途をたどっており、ドライバーの適正審査は厳しくなったことが、ドライバーがオンライン配車に参加する意欲を下げている。
大慶市の場合、2017年10月、ネット配車管理細則を発表し、ネット配車車両の使用用途を「レンタル旅客輸送」として登録するよう求めた。この規制により、全市登録されていたネット配車車両5万台のうち2万7000台が排除された。今年2月には大慶市内のタクシー1460台が、営業期間を終えて廃棄され、残った運営可能なタクシーは1890台のみとなった。そのうえ、大慶市交通管理部門は新規タクシーを増やさないとの方針を打ち出した。
多くのネット配車やタクシーが消え、大慶市の輸送力が半減し、市民の移動ニーズが満たさず、再び「タクシー難民」や「白タク」の台頭に見舞われている。
全国的に見ても、ここ数年間オンライン配車はますます難しくなっている。DiDiが提供したビッグデータによると、現在配車成功率は過去より平均7%ポイント低下している。31の省都と直轄市の交通データを抽出したところ、半数以上の都市で2019年に配車サービスの利用が難しくなった。このうち、江西省南昌市の2019年の配車成功率は27%下がった。
規制緩和が今後のトレンド
西安市タクシー管理局の王健局長は、「5年後にネット配車車種、車の価格、運賃などに対する管理を廃止し、タクシー業界を市場に開放する」と話した。
ある関係者は、「ネット配車の合法化は、安全とサービスの質を中心に推進され、消費者の利益を守ることを第一の原則とし、特に安全保障を基点とし、ネット配車監督管理制度と信用制度を確立すべきだ」との見解を示した。今後各地当局は、配車管理規定に基づいて、安全と関係性が薄い項目の審査(ネット配車の車格、ホイールベース、ドライバーの地元戸籍の有無など)を緩和していく可能性がある。