利用者がシェアカーでドリフトの練習、カーシェアリングに将来性なし

「CASE」の「S」が脱落しつつある。

一時有望視されていたカーシェアリングは、近年明らかに規模を縮小している。あるカーシェアリングプラットフォームの社長を務めているA氏は、「現在は特定エリアだけで運行が続いている。維持費の方が高くなる上、古い車両の稼働率が低すぎる」とカーシェアリングビジネスの難易度が予想を超えていると直言した。同社は、広州市周辺、上海市周辺、四川省の都市部などで数千台のシェアカーを投入しており、2020年に黒字化を目指す計画であったが、黒字化どころか、現在、同プラットフォームは倒産寸前となっており、広州市では同社のシェアカーの姿を見ることができなくなっている。

感染症が爆発的に発生する前、広州市には数十のプラットフォームのシェアカーが走っていた。現在、その数は2020年までと比べて大きく縮小しており、広州市ではGoFunや「連動雲」などごくわずかな大手プラットフォームのみのカーシェアリングが運営されている。

カーシェアリングの代表企業であるGoFunは、昨年以降、全国事業縮小やCEOの退職などの騒動を経て、武漢、天津、杭州などの多くの都市から撤退した。現在、広州ではGoFunが稼働しているものの、台数は急減している。

カーシェアリングの縮小は、収益の見込みがないためである。ある業界関係者は、今まで利益を上げているシェアカーのプラットフォームはないと明らかにした。多くのユーザーによる車両を乱暴に扱っているケースが後を絶たず、これまで有効な解決策もない。例えば、シェアカーで魚を運んだり、汚しても掃除せずにそのまま返却したりしているユーザーがいる。また、ドリフトの練習用にカーシェアリングをレンタルしているユーザーがいるが、一夜に4つのタイヤを壊した。4つのタイヤを交換するのに、数千元かかるが、カーシェアリングの1時間のレンタル料はわずか数十元で、1日のレンタル料も1-2百元にすぎない。100人のユーザーのうち1人でも車両を乱暴に使えば、運営業者が損出を出してしまう可能性があると業界関係者が述べた。

一方、高額の保証金でユーザーの行動を拘束することは到底できない。ここ数年のカーシェアリングプラットフォームの倒産ラッシュで、保証金を返してくれないことにユーザーは懸念して、保証金を預けることに躊躇している。一方、競合他社による保証金免除などがあり、高額の保証金をとるのが現実的ではない。

運営コストの高さ、利用の不適正化、感染症拡大に伴うシェアカー稼働率の低下などにより、投資家のカーシェアリングビジネスへの関心を低下させ、資金繰りができず、倒産に追い込まれた業者が続出している。

注目すべきは、国務院弁公庁が2020年11月に公表した「新エネルギー自動車産業発展計画(2021-2035)」では、中国の自動車産業の発展方向を述べる際に、電動化、ネットワーク化、スマート化のみを残し、本来並列に現れるべき「シェアリング化」が削除されたことである。

乗連会(全国乗用車情報連席会)幹事長の崔東樹氏によると、シェアリング化は、ビジネスモデルの1つに過ぎないと指摘したうえ、近年「シェアリングは新エネルギー補助金の下での在庫消化の役割を果たしたが、実需ではなかった。・・・カーシェアリングの将来性については期待していない」との見方を示した。

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