2024年12月31日、北京市第16期人民代表大会常務委員会の第14回会議において、「北京市自動運転車条例」（以下は、条例）が採択されました。この条例は2025年4月1日より施行されます。これは中国で初めての自動運転車に関する地方法規です。以下に条例の内容を簡単にまとめます。

1. 条例の焦点、主な内容と役割：

　この条例は技術発展と安全保障に注力し、L3レベル以上の自動運転車に対し、明確で透明、かつ予測可能な法的枠組みを提供します。

　自動運転車の個人乗用車、公共交通、タクシー、清掃作業など、多様なシーンでの利用を支援します。

　条例では、自動運転車を条件付き自動運転（L3）、高度自動運転（L4）、完全自動運転（L5）の機能を備えた車両と定義しています。

2. 自動運転車の利用シーン：

条例では以下の利用シーンを支援：

• • 個人乗用車での移動。
  • スクールバスを除く都市の公共バス、タクシー、レンタカーなどの旅客サービス。
  • 危険物輸送を除く道路貨物輸送。
  • 連絡シャトル、清掃作業、治安パトロールなどの都市運営保障。

　特に注目すべきは、自動運転車が個人乗用車として使用可能になった点です。個人ドライバーは車両の説明書に従い、自動運転機能を正しく使用する必要があります。

　「個人乗用車での移動」とは、主に車両が一般家庭に販売され、家庭のメンバーがその自動運転車を運転する状況を指します。

3. 技術およびインフラのサポート：

• • 自動運転対応のインテリジェント路側基盤施設の建設は、既存の路側施設を改造する形で推進可能とされています。
  • 新設、改築、拡張される道路は、自動運転対応のインテリジェント路側基盤施設の建設と連携する必要があります。
  • 経営主体による低遅延・高信頼性の通信ネットワーク構築を奨励し、地図測量関連の機関に高精度地図の安全活用を支援します。
  • 市政府は北京市のスマート交通発展計画および自動運転車発展計画に基づき、自動運転車が走行可能な区域と道路を調整します。

4. 安全および事故対応：

自動運転車が「誤作動」を起こした場合、即座に人工的な介入が必要：

　条例では、自動運転車に故障が発生し、走行可能区域を外れたり、交通安全に影響を与える可能性がある場合、運転者または安全員が以下を行う必要があるとしています：

• • 人工的に操作を引き継ぐ。
  • 危険警告灯を点灯させる。
  • 速度を落とし、交通の妨げにならない場所に停車する。

　事故責任の認定は国家規定に基づき、公安交通管理部門が処理を行います。交通事故に関する責任認定は国家立法の権限に属するため、北京市の地方立法では規定を設けられません。

5. 実施と監督：

• 自動運転車は道路試験、実証運用、安全評価を経た後でなければ、道路利用試行を申請できません。
• 道路試行では、安全員や監視員を配置し、車両の運行安全を確保する必要があります。
• 自動運転車に適応した保険商品の開発が奨励されています。

6. 当局の説明：

　条例発表後、メディアが当局に行ったインタビューのポイントは次の通りです。

条例の対象は「自動運転」であり、「完全無人運転」ではない：

　自動運転は人工運転から無人運転への移行過程を指します。L3では部分的に人工操作が必要であり、部分的に無人運転が実現します。

法規の迅速な制定理由：

　過去は実証区の政策で調整を行っていましたが、権限に限りがありました。立法化により、これまでの経験を固定化し、発生した問題を解決することで、自動運転技術と産業の安定的発展を促進します。

北京市の経験：

　北京市は豊富なテストと実証経験を持ち、この条例は自動運転技術の発展を制約していた重要な問題を解決し、産業の健康的な発展を保証することを目的としています。

企業が行うべきこと：

　自動運転製品やサービスを提供する企業は、まず政府指定の特定区域内で道路テストを申請し、技術や製品が設計された安全基準を満たしているかを確認する必要があります。その後、実証運用テストを経て、安全評価を満たした場合にのみ運営資格を申請できます。

個人消費者への意義：

　条例による個人乗用車の解禁は、技術の普及を促進し、市民に効率的で便利な移動手段を提供することを目指しています。

将来計画：

　北京市は高度な「自動運転実証区4.0」の推進を続け、観光、物流、工業団地などのシーンを拡大します。また、市全体で統一された自動運転車サービス管理プラットフォームを構築し、空港と市街地間の接続を自動化するとともに、政策と法規体系の整備を進めます。