中国両部署が意見募集 リコールとOTA規制を強化、運転支援を自動運転と誤認させる表現禁止、OTAは届出制に

8月13日、中国市場監督総局と工業情報化省は「スマートコネクテッド新エネルギー車製品のリコール、生産一致性監督管理および宣伝規範の強化に関する通知(意見募集稿)」を発表し、一般から意見を募集しました。意見提出の締切は2025年9月15日です。今年2月末に公布された関連通知と比較すると、今回の意見募集稿は企業の責任に関して、より多く、かつ厳格な要求を盛り込んでいます。
今回の意見募集稿は、①欠陥調査とリコールの強化、②OTA管理の規範化と生産一致性監督の強化、③広告および商業宣伝の規範化、④事故報告と詳細調査の強化――の4つの側面から監督措置を提示しています。
欠陥調査とリコール管理の強化
自動車メーカーは、車両アプリ、車載情報システム、取扱説明書の目立つ位置に、統合型運転支援システムの安全上の注意点や使用説明を明記し、ドライバーが自動運転システムと誤認しないようにする必要があります。また、安全を優先したドライバーモニタリング、警告、制御機能を開発・使用し、運転状態をリアルタイムで監視することが求められます。ドライバーがハンドルから手を離したり、居眠りをした場合には、音声警告、ハンドル振動、速度制限、路肩への停車、運転支援機能の停止などの措置を速やかに講じ、安全な車両制御の引き継ぎを確保します。
意見募集稿では、欠陥情報の監視を強化し、サイバー攻撃や脆弱性などによる事故リスクを低減することを求めています。市場監督総局は、不十分な警告表示や説明、サイバー脅威等が原因の安全事案について欠陥調査を行い、必要に応じてリコールによる改善を指示します。ドライバーモニタリングや警告機能の不足についても特別調査を実施し、欠陥分析に組み入れます。
OTA管理の規範化と生産一致性監督の強化
OTA(Over-the-Air)ソフトウェアのオンラインアップグレードは事前届出が必須であり、届出なしで実施してはなりません。自動車メーカーは、十分なテストと検証を経ていないソフトウェアをユーザーに配信してはならず、OTAによって欠陥を隠すことも禁止されます。生産車両は型式認証取得時の製品と一致しなければならず、自動車メーカーは安全責任を負います。OTAを頻繁に実施する自動車メーカーに対しては、市場監督総局が抜き取り検査や特別検査を行います。
さらに、自動車メーカーは自動車型式認証証明書システムに、統合型運転支援システムやエネルギー貯蔵装置などの重要情報を正確に記載しなければなりません。技術パラメータの不一致、未届出、届出内容と実際のアップグレードの不一致が発覚した場合、関係法令に基づき処理されます。
誤解を招く宣伝の禁止
自動車メーカーは、自動化レベル、システム能力、運用範囲などに関する情報を提供する際、真実かつ完全でなければならず、虚偽や誇張、誤解を招く表現をしてはなりません。特に、機能名称やマーケティングで自動運転システムであるかのような印象を与えることは禁止されています。
市場監督総局は、運転支援機能の誇大広告や消費者の誤認を招く行為に対する監視を強化し、工業情報化省と共同で特別調査を実施します。
事故報告と調査の強化
自動車メーカーは関連規定に従い、統合型運転支援システムの使用中に発生した安全事案や事故を速やかに報告しなければなりません。監督当局は事故の詳細調査・分析を行い、自動車メーカーの報告内容の真実性を確認します。必要な報告を怠ったり、重大な事実を隠蔽した場合は、社会に公表し、是正を促します。
以上は意見募集の主な内容です。業界関係者によれば、短期的には自動車メーカーにとってコンプライアンス負担やコスト増を伴いますが、長期的には技術成熟度の向上や業界標準の整備を促し、L3以上の自動運転の適法な発展を支えるとともに、消費者誤導のリスクを減らす効果が期待されるとしています。