CATLが香港証券取引所に上場へ、過去4年で最大のIPOに:資金はハンガリー工場建設へ

5月12日、バッテリーメーカーのCATL(寧徳時代新能源科技股份有限公司)は香港証券取引所において公告を発表し、正式にH株の新規公開(IPO)を開始すると発表しました。調達予定額は最大で約410億香港ドル(約53億米ドル)に達し、過去4年以上で香港市場最大規模のIPOとなる可能性があります。

公告によると、CATLは5月12日から15日までの期間で投資家からの申し込みを受け付け、約1億1,800万株のH株を発行する予定です。発行価格の上限は1株あたり263香港ドルに設定されており、この価格で算出した場合、調達額は最大で307.18億香港ドルに達します。さらに、オーバーアロットメントオプション(超過割当オプション)が全て行使された場合、調達総額は最大410億香港ドルにまで拡大する可能性があります。CATLの株式は5月20日に香港証券取引所で正式に上場予定で、銘柄コードは「3570」です。

調達資金の用途については、約90%がハンガリーにおけるバッテリー工場の第1期および第2期の建設に充てられ、残りは運転資金やその他の企業目的に使用されるとしています。この工場プロジェクトの総投資額は73億ユーロで、CATLが欧州市場での生産能力を拡大し、長期的なグローバル戦略を推進することを目的としています。

今回のH株発行には、シノペック(中国石化)、クウェート投資庁、ハイリグローバル(高瓴資本)、ガオイ・アセット(高毅資産)、ボーインキャピタル(保銀資本)、ジンリン・インベストメント(景林投資)など多数の機関投資家が基礎投資家(コーナーストーン・インベスター)として参加しており、合計の申込額は26.28億米ドルに上ります。

CATLの香港上場計画は2025年2月に始まり、わずか約3カ月で承認プロセスを完了しました。これは近年、中国企業による海外上場案件の中でも最も迅速に進んだ事例の一つとされています。

財務データによれば、2024年末時点で同社の年間売上高は3,620億元(前年同期比9.7%減)、純利益は553億元で、純利益率は15.3%でした。また、2024年第1四半期には売上高847.05億元(前年同期比6.18%増)、純利益139.6億元(同32.85%増)を達成しています。

同社は世界の車載用バッテリー市場で37.9%、エネルギー貯蔵用バッテリー市場で36.5%のシェアを持ち、いずれも業界トップとなっています。顧客にはBMW、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、トヨタ、フォード、現代自動車、ホンダ、ステランティス、シャオミ(小米汽車)などの完成車メーカーに加え、NextEra、国家能源集団、中国華電などのエネルギー貯蔵パートナーが含まれています。

現在、CATLは世界に13か所のバッテリー生産拠点を有しており、そのうちドイツ・チューリンゲン州とハンガリー・デブレツェンの2拠点は海外工場です。さらに、スペインやインドネシアなどでの新規プロジェクトも進行中です。また、同社は世界中で770か所以上のアフターサービス拠点を展開しており、そのうち169か所が海外に位置しています。

33

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。