中国、自社大出力充電施設の原則開放を要請、2027年までに10万基整備目標

■ 自社施設の原則開放へ──閉鎖構造から相互接続へ

7月7日、中国国家発展改革委員会など4部門は連名で通知を発表し、新エネルギー車(NEV)メーカーが自社で構築した大出力充電施設ネットワークについて、原則としてすべての利用者に開放し、自社ブランド車両のみに限定しないよう求めました。

この政策は、企業による「自社建設・自社利用」にとどまる閉鎖的な構造を打破し、業界全体の相互接続を促進するとともに、ユーザーの充電体験の向上を図ることを目的としています。また、充電ステーションに飲食・娯楽・ショッピングなどのサービスを組み合わせた複合施設の形成も奨励されています。

現在、BYDやファーウェイ、Zeekrなどが、メガワット級の大出力充電ネットワークの整備を進めており、これが各社の競争力の核心となりつつあります。施設の開放と共有が進めば、「充電が困難」「互換性がない」といった業界共通の課題の解消にもつながると期待されています。

■ 2027年までに10万基整備──優先エリアは高速道路と混雑地域

通知では、2027年末までに全国で10万基以上の大出力充電施設を整備する目標が掲げられました。ここでいう「大出力」とは、充電ガン1基あたり250kW以上の出力を持つ充電設備を指します。

なかでも、高速道路のサービスエリアや大型連休中に交通が集中するエリアなど、利用頻度の高い地域を優先的に整備する方針です。また、利用率が40%を超えるエリアでは重点的な大出力化が進められます。

また、大容量・高出力のバッテリーを必要とする電動大型トラックや電動船舶、電動航空機などに対しても、メガワット級充電技術の実証と応用を支援する姿勢が明確に示されています。

■ スマート運用と高稼働率の確保

充電施設の運営においては、スマート化と稼働率の向上も重視されています。通知では、すべての大出力充電設備について稼働率98%以上の維持を目標に掲げ、運営企業にはスマートメンテナンスプラットフォームの構築を求めています。これにより、故障の記録や遠隔監視を可能にし、設備の安定稼働を支援します。

また、ドローンによる巡回点検やスマート警報、インテリジェント消防といった安全管理技術の導入も奨励されており、スマートかつ安全な管理体制の構築が期待されています。

■ 国産化要求と政府監視と品質基準の徹底

通知では、充電設備の運営企業に対して、設備の技術アップグレードを進め、大出力充電の効率性と耐久性を高めるよう求めています。分離型設備については、大出力を優先する電力分配戦略の採用が奨励されます。

同時に、高圧SiCモジュールや主制御チップなど、主要部品の国産化を加速し、部品供給からシステム統合、運営サービスに至るまで、充電インフラ全体の産業チェーン高度化を図る方針も示されました。

すべての大出力充電施設は、政府の監視プラットフォームに接続され、サービス品質と運営状況の監督を受けることが義務付けられます。また、施設の建設・運営にあたっては、国家標準に基づいた立地選定・設計・消防設備の配置が必要です。

さらに、設備調達時には、充電スタンドや関連機器が製品合格証明書やCCC認証(中国強制認証)を取得しているかを確認し、品質基準への適合を確保することが求められています。

■ 地方政府に統合的な整備計画を要請

こうした整備を進めるにあたり、地方政府には電力部門や交通部門と連携した、土地利用・電力網・交通インフラ一体の整備計画の策定が求められています。重複投資や資源の浪費を防ぎ、効率的なインフラ整備を進めることが狙いです。

さらに、地方政府は10年以上の用地賃貸契約の確保や電力容量の拡大、財政支援などを通じて、投資環境の整備と運営コストの削減を支援する方針です。

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