中国、自動車業界で初の全固体電池判定基準を制定 明確な定義で「偽全固体」に終止符

5月22日、中国自動車工程学会は「全固体電池判定方法」という団体標準を正式に発表しました。これは、業界として初めて全固体電池の定義を明確にし、これまで曖昧だった技術的な線引きや、欠如していた試験方法に対して具体的な解決策を提示するものです。今回の標準策定は、技術の進化と産業化の推進において重要な基盤となることが期待されています。

新たに制定された基準では、「全固体電池」とは、イオンの伝導が完全に固体電解質によって行われる電池と定義されており、液体あるいは半固体を含む「混合固液電解質電池」との間に明確な技術的区分が設けられました。判定のポイントとなるのは、「失重率(しつじゅうりつ)」に基づく液体含有量の試験方法です。具体的には、試料を真空加熱し、その際の重量減少率(失重率)を測定します。目視で液体が確認されず、かつ失重率が1%未満であれば「全固体電池」と判定されます。

この方法は複数回の検証試験を通じて、安定性と信頼性が確認されており、現時点で主流とされるさまざまな技術ルートに適用可能です。誤差が小さく、判定結果が安定していることから、業界全体での広範な活用が期待されています。

全固体電池は、高い安全性とエネルギー密度の両立が可能なことから、次世代の車載用動力電池として注目を集めています。しかしながら、これまではメーカー間で「全固体」の定義にばらつきがあり、認証や市場展開に混乱を招いていました。今回の標準制定により、研究開発から製品認証、市場導入に至るまでの各段階で統一基準が適用されることとなり、材料開発や製造プロセスの最適化、さらにはコスト削減にも寄与すると見られます。

また、「全固体」とうたいながら実際には液体成分を含む「擬似全固体電池(=偽全固体)」の流通を抑制する効果も期待されており、企業の技術開発意欲の向上だけでなく、消費者の信頼確保や市場秩序の維持にも貢献することが見込まれています。

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