南アフリカ、税額控除150%でEV企業を誘致!中国EVメーカーの進出が本格化
南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は2024年末に税制改正法案に署名し、2026年3月から南アフリカで電気自動車および水素燃料自動車を生産する企業に対し、150%の税額控除を提供することを規定しました。伝えられるところによると、Chery(奇瑞)や長城汽車を含む複数の中国自動車メーカーが秘密保持契約に署名し、南アフリカで電気自動車の生産拠点を構築する計画を進めています。
この税制改正案は2024年2月に南アフリカ国家予算の中で初めて提案されましたが、2024年12月24日にようやくシリル・ラマポーザ大統領によって公布されました。フォードやBMWグループなどの自動車メーカーは南アフリカでハイブリッド車の生産を進めているか、計画していますが、純電気自動車の投資を発表した企業は現時点で存在していません。
この政策は、内燃機関車の段階的な廃止を進める欧州市場によって南アフリカの自動車製造業が直面する輸出圧力を緩和することを目的としています。
近年、主要な輸出市場である欧州でのガソリン車やディーゼル車の需要減少により、南アフリカの自動車輸出は打撃を受けています。同国の製造業全体の生産高で第4位を占める自動車産業は、その重要性が高いにもかかわらず、危機に直面しています。例えば、メルセデス・ベンツは南アフリカで生産される車両の90%を欧州に輸出していますが、欧州連合(EU)の厳格な炭素排出規制により、同ブランドのガソリン車の販売台数は年々減少しています。
南アフリカが電気自動車を推進するもう一つの動機は、気候目標の達成です。輸送業界は南アフリカにおける第3位の排出源であり、同国の炭素排出量全体の約11%を占めています。特に道路輸送は、輸送部門のガソリンおよびディーゼル燃焼による炭素排出の91.2%を占めています。南アフリカ運輸省は近年「グリーントランスポート戦略」を発表し、2050年までに輸送部門の炭素排出量を5%削減する計画を立てています。
中国の電気自動車メーカーが南アフリカへの投資に強い興味を示した理由の一つに、電気自動車や水素燃料自動車の開発において、南アフリカが恵まれた自然条件を持っていることが挙げられます。南アフリカには電池製造に欠かせないニッケルやマンガンといった豊富な鉱物資源があり、さらに、世界最大のプラチナ埋蔵量を誇っています。プラチナは水素燃料電池エンジンの製造に使用される重要な金属です。
また、中国の電気自動車メーカーにとってもう一つの狙いは、西側諸国の貿易障壁を回避することです。西側諸国の貿易障壁は、高関税に加え、厳格な環境基準や複雑な認証手続きなどの非関税措置を含んでおり、中国製品の輸出コストや難易度を増大させています。南アフリカに生産拠点を設けることで、これらの貿易障壁をある程度回避することが可能になります。
とはいえ、南アフリカ政府や中国の自動車メーカーが投資拡大の意欲を示している一方で、南アフリカの電気自動車産業は依然として多くの課題に直面しています。まず、南アフリカのエネルギー構造は炭素排出割合が高く、電力網の頻繁な停電や経済成長の低迷が電気自動車産業の持続可能な発展を阻害しています。さらに、南アフリカの高い輸入電気自動車関税や充電インフラの不足により、消費者のコスト負担が制約要因となっています。