米国、AIチップ輸出規制を史上最厳化!中国・ロシアなど22カ国に全面禁輸
米国政府は1月13日、ホワイトハウスの公式ウェブサイトを通じて新たな規制を発表しました。この規制は「国家安全」を理由に、人工知能(AI)チップおよび関連技術の輸出をさらに制限することを目的としています。
今回の規制は、2022年および2023年に導入されたチップ規制を基盤としています。新たな規則では、多くの国へのAIチップ輸出に上限が設けられ、中国やロシアなど22か国にはほぼ全面的な禁輸措置が適用されています。以下は、今回の輸出規制の主な内容です。
3つの地域区分
Tier1:アメリカの主要な同盟国およびパートナー国/地域
オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、フランス、仏領ギアナ、アイルランド、イタリア、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、韓国、スウェーデン、台湾、イギリスが含まれます。これらの地域は、アメリカの高度なAIチップを制限なく購入することが可能です。
Tier3:中国本土およびその他約22の国/地域
中国本土、イラン、北朝鮮、ベラルーシ、ロシア、ベネズエラ、ニカラグア、シリアなどが該当します。これらの地域では、アメリカから高度なAIプロセッサーをほぼ完全に輸入禁止とされます。
Tier2:Tier1およびTier3を除く国/地域
シンガポール、メキシコ、インド、マレーシア、イスラエル、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、ポルトガル、トルコなどが含まれます。これらの国/地域では購入に制限があり、2025年から2027年の間に各国が取得できるAI GPUは最大で約5万枚に制限されます。
6つの運用方法
1.18の主要な同盟国およびパートナー国へのチップ販売に制限なし
ホワイトハウスは、この柔軟な政策により、技術保護体制が確立され、アメリカの国家安全および外交政策利益に合致する技術エコシステムを持つ地域が、大規模な無制限調達の恩恵を受けられると説明しています。
2.Tier2地域に対する規制緩和
各団体が年間1,700個未満の高性能GPUチップを購入する場合、ライセンスは不要です。この購入は各国や地域の調達上限に含まれず、大学、医療機関、研究機関が無害な目的で使用するチップが主に該当します。
3.「一般検証済エンドユーザー」(UVEU)の資格付与
高い安全性と信頼性基準を満たし、アメリカの緊密な同盟国またはパートナー国に本社を置く団体に付与される資格です。この資格を持つ団体は、世界のAI計算能力の最大7%を他国に展開でき、数十万枚のチップに相当します。これにより、信頼できる団体が責任を持って柔軟に規模を拡大する一方で、アメリカおよび同盟国のAIリーダーシップを強化します。
4.「国家検証済エンドユーザー」(NVEU)の資格申請
同様の基準を満たし、非同盟国に本社を置く団体もNVEU資格を申請可能です。この資格を取得した団体は、今後2年間で最大32万枚の高性能GPUに相当する計算能力を購入できます。これにより、信頼される団体がアメリカの高度技術を活用しつつ、技術の流出を防ぎます。
5.非VEU団体への販売
非VEU資格を持たない団体でも、高度な計算能力を購入可能です。ただし、各国や地域ごとに上限は5万枚の高性能GPUに相当します。この制限により、アメリカの技術が外国の政府機関や医療機関、地元企業に安全に活用されることを確保します。
6.政府間協定
アメリカ政府は、Tier2地域の政府と共通の価値観に基づいたAIエコシステムの構築を進めています。これらの協定を締結した政府は、輸出管理やクリーンエネルギー、技術安全への取り組みを通じ、輸入可能なチップの上限を最大2倍(10万枚)に引き上げることができます。
影響と展望
NVIDIAを含む一部のアメリカ企業は、この規制に反対する姿勢を示しています。理由として、アメリカ企業の市場拡大が妨げられるだけでなく、中国が独自のAIチップ開発を加速させる可能性が挙げられています。
また、一部のメディアは、グローバルな半導体産業およびAI分野の競争力に長期的な悪影響を及ぼす可能性を指摘しています。
しかし、今回の規制には発効前の猶予期間が設けられ、企業には120日間の意見提出期間が与えられます。今回の新規制は、現アメリカ政府が退任直前に中国のAI分野での技術進歩を抑制するための最後の試みと見なされています。