中国のコックピット・ドメイン・コントローラ市場の現状とサプライヤー構造の変化
中国のスマートコックピット市場が急成長しています。最近、自動車総合情報メディアの「蓋世汽車網」は、中国のコックピット・ドメイン・コントローラ市場の現状とサプライヤー構造の変化についての記事を発表しました。蓋世汽車研究院の統計によると、2024年第1四半期、スマートコックピットの搭載率は67.4%に達し、2023年の61.5%から上昇しました。また、スマートコックピットシステムは徐々にドメインコントローラーへと進化し、搭載車種はハイエンドモデルから中・ローエンドモデルへと広がっています。2024年第1四半期、中国市場のコックピット・ドメイン・コントローラのOEM搭載量は102.6万セットに達し、搭載率は21.5%に上昇しました。これは2023年の16.5%から大幅に増加しました。
サプライヤー構造の変化
サプライヤー市場では地場メーカーが台頭しています。地場サプライヤーのDesay(徳賽西威)は17万セット超の搭載台数でトップに立ち、市場シェアは16.7%です。Desayは多くの自動車メーカーの主要サプライヤーとなっており、特にDesayを採用したLi AutoやChery(奇瑞汽車)などの地場ブランドの販売が伸び、市場での地位をさらに強化しています。これに対し、テスラの主要サプライヤーである台湾のペガトロン/クアンタ・コンピュータ(和碩/広達)は、テスラの中国市場シェアの低下により、その市場シェアも相応に低下しています。
第1四半期において、地場サプライヤーのECARXも9.6万セットの搭載台数で第3位に浮上し、市場シェアは9.3%でした。ECARXは吉利汽車を背に、吉利汽車傘下の多くの車種に製品を提供し、徐々に市場シェアを拡大しています。
一方、地場サプライヤーのVisteon(偉世通)はZeekrなどの重要顧客を失い、サプライヤーを変更したことで5位に順位を下げ、搭載台数は6.2万セットで、市場シェアは6%に減少しました。AptivはZeekr 007と長城系モデルをセットにしたことで、追い風を受け市場シェアを5.2%に伸ばしました。
国産チップの浮上
コックピット・ドメイン・コントローラ・チップの分野では、依然としてクアルコムが主導的な地位を占めています。2023年、クアルコムの搭載台数は226万基を超え、市場シェアは60%近くに達しました。2024年第1四半期、クアルコムの市場シェアはさらに62%に達しました。クアルコム8155と8295チップは中国国内の多くの車種で広く利用されています。
クアルコムのほか、AMDが12.5%、ルネサスが11.1%と一定のシェアを占めています。国内のチップメーカー、例えばSiengine(芯擎科技)の活躍が目立ち、市場シェアは昨年の1.6%から3.1%に上昇しました。これは主に吉利傘下の LYNK & CO(領克)ブランドや吉利汽車と力帆科技の合弁会社であるLivan Automotive(睿藍汽車)などの車種に採用されています。ファーウェイもコックピット・ドメイン・コントローラ・チップ分野で市場シェアを2%に伸ばし、AVATR(阿維塔)やAITO(問界)などの提携ブランドのモデルに採用されています。
今後の展望と課題
将来的には、中国のコックピット・ドメイン・コントローラ市場における地場サプライヤーの活躍がさらに目立つでしょう。Desayなどのサプライヤーは、OEMの範囲拡大や生産能力の引き上げにより、市場シェアをさらに伸ばすことが期待されています。また、クアルコム8295チップの普及に伴い、コックピット・ドメイン・コントローラ市場の構造は引き続き変化していくでしょう。
クアルコムは現在、チップ分野で主導的な地位を占めていますが、技術革新やオープンな提携方式を通じて、既存の構造を打破しようとする地場メーカーが増えています。今後、市場ニーズの絶え間ない変化と新技術の導入に伴い、コックピット・ドメイン・コントローラ市場はより多くのチャンスと挑戦を迎えることになるでしょう。