OTAによる欠陥隠しが困難に!工業情報化省の新基準導入へ
工業情報化省は8月1日に、「スマートカーの参入、リコール及びソフトウェアのオンラインアップグレード管理の更なる強化に関する通知(意見募集稿)」を発表し、スマートカーの参入、リコール、およびOTA(Over the Air:オンラインソフトウェア更新)管理について具体的な要求を示しました。
スマートフォン時代においてハードウェアの故障がソフトウェアの問題に取って代わられたように、スマートカーもハードウェアからソフトウェアへとシフトしており、多くのバグが発生しています。現在の自動車ソフトウェアシステムには約1億行のコードがあり、将来的には10億行を超える可能性があり、バグが発生しやすくなるでしょう。2025年までに、安全関連ソフトウェアのリコールが自動車リコールの50%以上を占めると予想されています。
これまでのリコールは多くがハードウェアの問題で、工場に返却して修理する必要がありましたが、OTAによるソフトウェアのアップグレードが可能になり、リコール効率が大幅に向上しました。近年の自動車スマート化の急速な発展により、OTA技術はスマートカーの重要な構成要素となっています。2023年、中国ではOTAを通じて6回のリコールが実施され、対象車両は117万3千台で前年同期比32.2%増加しました。しかし、「OTAリコール」と従来のリコールの境界線は次第に曖昧になっています。
例えば、テスラは過去1年間でOTA形式による大規模なリコールを何度も実施しました。この方式は効率的ですが、その規範性には疑問が投げかけられています。
自動車のOTAにはセキュリティリスクが伴い、特に自動車の制御システムや管理システム、性能に深く関与し、後期のOTAによって新機能を開放することも可能なFOTA(Firmware update Over The Air)は、車両がハッカーに制御されて深刻な結果を招く可能性があります。そのため、OTAリコールやスマート運転技術の安全基準の規範化が特に重要となっています。
工業情報化省は、企業がOTAアップグレード活動を関連法律法規に合致させ、関連コードを関連機関に提出して届け出る必要があると強調しました。市場監督管理総局はOTAアップグレードの監督を強化し、企業がOTAを利用してリコール責任を逃れることを防止します。製品の技術パラメータの変更に関わるOTAアップグレードについては、事前に工業情報化省に申告する必要があります。また、市場監督管理総局はOTAアップグレードの評価と監督を強化し、企業がOTAを通じて車両の欠陥を隠蔽したり責任を回避したりすることを防止し、スマートカーの安全性を高めることを目的としています。
スマート運転も今回の意見募集稿の注目ポイントです。2023年、中国でL2クラススマート運転を搭載した新規乗用車の普及率は47.3%に達しました。この技術は急速に進歩している一方で、頻発する安全事故が国民の注目を集めています。そのため、意見募集稿では、運転支援システムの参入管理の強化、事件事故報告と検討・判断メカニズムの構築など、一連の措置が打ち出されています。