NVIDIA、中国当局が追加調査を決定──GPUとネットワークカード抱き合わせ販売が焦点に

9月15日、中国国家市場監督管理総局の公式サイトが公表したところによると、初歩的な調査の結果、NVIDIA社が「中華人民共和国反独占法」および過去にMellanoxテクノロジー株式取得案件で行った約束に違反していることが確認され、同社に対してさらなる調査を実施することが法に基づき決定されました。一部のメディアは、これにより9か月以上続いた調査が「容疑」段階から「違反確認」段階へ移行したと報じています。消息が発表された後、NVIDIAの米国株はプレマーケットで一時2.4%下落しました。
この案件は6年前に遡ります。当時NVIDIAは、高性能ネットワーキング機器を開発・製造するイスラエル企業であるMellanox買収案件において7項目の義務を履行することを約束しており、その内容には、中国市場において強制的な抱き合わせ販売や不合理な取引条件を付加してはならないこと、また公平・合理・非差別の原則に基づいてGPUアクセラレーターおよび関連部品を継続供給することなどが含まれていました。
では、なぜGPUとネットワークカードが抱き合わせ販売されるのかという点です。大規模AIモデルの訓練は、1、2枚のGPUで済むものではなく、数百から数千枚規模のGPUを組み合わせた「計算力空母艦隊」が必要になります。現在では数万枚、十万枚規模にまで発展しています。GPUとMellanoxのInfiniBandネットワークカードの深い技術統合は単なるバンドルではなく、AIやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)用途において最高性能を実現するためのものです。もし艦隊の各艦(GPU)間の通信が円滑でなければ、全体の効率は大きく損なわれます。NVIDIAのGPUDirect RDMA技術は、GPUとネットワークカードがCPUという「仲介者」を迂回して直接通信できるようにし、遅延を大幅に減少させ、データ転送効率を向上させます。そのため、一般的に各GPUにはMellanoxの高性能ネットワークカードが1枚付属します。AI訓練クラスターは、GPUとネットワークカードの相互接続の集合体なのです。NVIDIAがGPUとネットワークカードを販売時に実際にバンドルしていたか否かは、独占禁止調査の重要な焦点となっています。
今回の立件は、NVIDIAがこれらの義務においてGPUとネットワークカードの抱き合わせ販売などの違反行為を行っていたと認定されたことを意味します。「反独占法」によれば、関連する罰金額は前年度売上高の1%から10%であり、情状が重い場合はさらに2倍から5倍の罰金が追加されます。NVIDIAの2025会計年度における中国区の売上高約171億ドルを基準にすると、罰金額は17.1億ドルから最大85.5億ドルに達する可能性があります。
また、7月31日には、国家インターネット情報弁公室(網信弁)が、対中販売されたH20チップの脆弱性やバックドアの安全リスクに関して、「サイバーセキュリティ法」「データセキュリティ法」「個人情報保護法」に基づきNVIDIAを呼び出し、関連する説明および証明資料の提出を求めていました。その後NVIDIAは8月6日未明に文書で正式に回答し、チップに「停止スイッチ」やバックドア制御が存在することを断固否定し、設計が国際的なサイバーセキュリティ基準に適合していることを強調しました。さらに90年代の「クリッパーチップ」事件を例に挙げ、バックドアのリスクを警告しました。
今回の中国政府による追加調査は、対米貿易交渉のカードと見る向きもあります。しかし実際には、NVIDIAが中国の規制当局から反独占とサイバーセキュリティの両面で圧力を受けていることは事実です。今後の同社の中国市場での事業展開とコンプライアンスコストの推移に、引き続き注目が集まっています。