半導体大手のテキサス・インスツルメンツ、中国MCU研究開発チームを解散し、インドに移転決定
5月6日、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)が上海R&DセンターのMCU(マイクロ・コントロール・ユニット)チームを解散し、元のMCU製品ラインをすべてインドに移転するとのニュースに、業界の注目が集まっている。
MCUチームの解散決定は、上海のロックダウン期間中に同社が開いたオンライン会議で突然発表されたため、1カ月以上続いている中国当局による行き過ぎた防疫対策も関係しているのではないかとの臆測もある。
テキサス・インスツルメンツは1985年にインドのバンガロールに研究開発センターを設立しており、中国のチップ開発コストよりもインドの方が低いため、今回のインドへの移転は、同社による経営リソースの調整に過ぎないとの見方もある。また、テキサス・インスツルメンツのMCUチームの幹部が近年、インド人に入れ替わったことも、インド移転の決定のきっかけになったとも思われる。
一方、同社は近年中国国内同業他社からの激しい競争に晒されており、中国MCUチームは過去2年間安定しておらず、多くの中堅社員が国内他社のMCUチップ会社に流れたとの情報もある。
テキサス・インスツルメンツの経営側は5月8日、同社にとって中国は依然として世界で最も重要な市場であり、中国市場への投資を続け、中国で従業員の削減を一切しておらず、大切にしていると表明したが、情報によると、テキサス・インスツルメンツは従業員に会社の異動決定を受け入れるか、自ら退職を申し出るかの2つの選択肢を提示したという。
データによると、テキサス・インスツルメンツは世界トップのMCUサプライヤーとして、2020年の世界共通MCU市場シェアは約7%を占めている。
最近海外企業の中国撤退が相次いでいる。今年1月には、米メモリーチップ大手のマイクロンが中国チームを解散したニュースも業界内で多くの議論を呼んだ。マイクロンは1月25日に100人を超える上海R&DセンターのDRAM設計チームを解散し、一部の中堅社員に米国への技術移民の選択肢を与えた。その後、マイクロンは、DRAMエンジニアリングチームが上海デザインセンターから撤退することを決定し、関連する移行作業は2022年12月までに完了する見通しである。