ヴァレオとMomenta、自動運転技術分野で戦略的提携

9月5日、フランスの自動車部品大手ヴァレオ(Valeo)と中国の自動運転技術企業Momentaは、戦略的提携を締結しました。両社は中国および世界市場において、長期的かつ包括的な協力関係を構築し、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転に関する製品・システム・ソリューションの共同開発を進めていきます。
ヴァレオは、L2からL4までの運転支援に必要なハードウェアとソフトウェアを提供できる体制を整えています。カメラ、超音波センサー、ミリ波レーダー、ライダーを含む幅広いセンサー群に加え、中央制御ユニットや領域別・ゾーン別のコントローラー、AIを活用したソフトウェアを統合したアーキテクチャを展開しています。特に、L3の条件付き自動運転を実現した車両には、ヴァレオの「SCALA™」ライダーが搭載されています。
Momentaは、強化学習を基盤とした大規模AIモデル「Momenta R6」を量産車に導入しています。従来の模倣学習(Imitation Learning)とは異なり、このモデルはシミュレーション環境で新しい運転行動を試行し、成功や失敗を繰り返しながら自律的に学習する仕組みを備えています。これにより、安全性や効率性の向上が期待されています。すでにMomentaの技術を搭載した車両は世界で40万台を超えており、複数の主要自動車メーカーと提携しています。
今回の提携により、両社は計算プラットフォーム、センサー技術、ソフトウェアなどの分野でそれぞれの強みを組み合わせ、システム全体のソリューションを提供していきます。また、新製品の共同開発から導入支援、継続的なアップデートに至るまで、車両のライフサイクル全体を通じたサービスを顧客に提供する計画です。ヴァレオはすでに4件の案件を受注しており、今後も複数の自動車メーカーと協議を進めています。
ヴァレオのスマートシステム部門CEOであるマルク・ヴレッコ氏は、中国がADAS市場を主導して成長を続けていると指摘したうえで、Momentaとの協力が今後の安全で持続可能なモビリティの実現に貢献すると述べました。MomentaのCEOである曹旭東氏も、ヴァレオとの協力によって両社の技術的な強みを結集し、自動運転技術の性能向上と市場展開を加速できるとの見解を示しました。