中国車載半導体ホワイトリスト2.0発表:米国規制強化に対応し、検証コスト削減を狙う
12月4日、中国自動車用半導体産業創新戦略連盟(以下「中国車載半導体連盟」)は、第2弾となる車載半導体ホワイトリスト(ホワイトリスト2.0)を発表しました。
今回の更新は、半導体選定における車両メーカーの検証コストと期間を削減し、中国国産車載半導体の普及を促進することを目的としています。
ホワイトリスト2.0の主な更新内容と注目ポイント
ホワイトリスト2.0は、2021年に初版が公開されて以来の全面的なアップグレードであり、2024年10月末までに12社の自動車メーカーおよび部品メーカーから提供された最新の適用データを統合しています。その主な内容は以下の通りです:
- 新たに2,000件以上の適用事例を網羅(初版比34%増加)
- 1,800以上の製品モデルを含む(30%増加)
- 約300社のサプライヤーをカバー(前年比3%増加)
対象分野は、車体、シャシー、パワートレイン、車室内、スマートドライビング、車両制御など10の主要アプリケーション分野に及びます。特に、電源、通信、制御系の半導体の需要が広範囲にわたる一方で、コンピューティング系半導体は車両あたりの使用量は少ないものの、価値と技術的ハードルが高く、国産化のポテンシャルが大きいとされています。
また、ホワイトリストは動的管理メカニズムを採用しており、車両メーカーによる使用が停止されたり、検証が通らなかった半導体はリストから削除される仕組みとなっています。
急増する車載半導体需要と国産化のボトルネック
電気自動車(EV)の急速な普及により、車載半導体の需要が急増しています。
従来のガソリン車には600~700個の半導体が必要であるのに対し、EVでは約1,600個、より高度なスマートコネクテッドカーでは最大3,000個に達すると言われています。
しかし現在、中国国内での車載半導体の国産供給率はわずか約10%にとどまり、約9割が輸入に依存しています。
中国自動車工業協会(CAAM)のデータによると、2023年の中国車載半導体市場規模は850億元に達し、2024年には905億元を突破すると予測されています。特に、制御系半導体、センサー半導体、パワー半導体が注目されており、それぞれ市場シェアの27.1%、23.5%、12.3%を占めています。
米国の輸出規制強化への対応と国産化推進の狙い
最近、米国は輸出規制の新ルールを発表し、中国の半導体関連企業約140社を「エンティティリスト(制裁対象リスト)」に追加しました。これに対し、中国自動車工業協会(CAAM)は声明を発表し、国内企業に対して米国以外の半導体の利用を促し、自主的な発展を加速するよう呼びかけています。
中国車載半導体連盟のホワイトリスト発表は、このような状況を受けた対応の一環ともいえます。同リストは、需給マッチングプラットフォームの構築や内部基準の規範化を通じて、車両メーカーとサプライヤーのマッチングサービスを提供する機能として期待されています。