DiDiの米国上場廃止、終わりの始まりになるか
(自動車情報サイト「汽車公社」の興味深い記事を紹介する)
「真剣に検討した結果、弊社は同日からNYSEでの上場廃止に向けた作業を開始し、香港での上場に向けた準備を開始した」。
DiDiは12月3日朝、中国版FBの「Weibo(微博)」公式アカウントから表明を出し、米国での上場廃止手続きを開始すると発表した。
しかし、中国での同社の経営見通しも、公式にアナウンスした「米国での上場廃止と香港上場」計画も、現時点では楽観的とは言えない。
現在の危機を脱するためには、DiDiはこの一連の「生まれ変わりゲーム」をすべて完璧に走破する必要があるからだ。
声明で言及されていないが、「上場廃止→上場」案では必要不可欠な「国内規制当局の了解を得ること」と「罰則の解除」などステップも含まれている。
しかし、そのいずれのステップも、リスクに満ちている。
米上場廃止の手続きに限って言えば、回収過程の株価が米国の投資家を満足させることができるかどうかがカギとなる。何しろDiDiのIPO価格は、1株14ドルに達したが、現在の株価はわずか7ドル前後である。
もしDiDiの回収株の価格が投資家を満足させることができなければ、米国の証券詐欺訴訟を専門とする法律事務所はDiDiを訴えることは疑いの余地がない。
米国の法律では、3つの要素を満たせば証券詐欺(security fraud)になる。
1.「株価に影響を及ぼすに足る重要な事実」について虚偽の陳述や意図的な隠蔽があったこと、
2.上記の虚偽の陳述又は隠蔽で、明らかな悪意があることが確認された場合
3.被詐欺者は詐欺者に対して信頼があり、詐欺者が提供または隠蔽した情報に基づいて証券取引を行っていた。
DiDiはニューヨーク証取に提出した目論見書の中で、「情報セキュリティ関連の法令を厳格に順守し、利用者の同意があった場合にのみ情報を収集し、情報収集の範囲と目的を十分に説明し、かつ利用目的を終えたデータは削除または匿名化している」と主張しているにもかかわらずだ。しかし、それに対する中国政府の罰則を踏まえると、投資家たちがこの陳述が事実ではないと考える理由は当然ある。
DiDiは投資家が満足するような株式回収価格、例えばIPOでの14ドルの価格を示せなければ、訴訟が必ず避けられないと信じるに足る理由がある。
そのため、DiDiにとって現在の急務は、国内管理部門が課した処罰を早急に解消することである。このペナルティを背負う限り、DiDiが香港市場で資金調達する可能性は低い。
DiDiが香港株への上場を実現できないのであれば、あるいは香港市場から調達した資金で米国での上場廃止の損失を補填することはできなければ、DiDiを待っているのは「壊滅」という結末しかないだろう。