AITO(問界)、エジプト市場への参入を正式発表 国内販売減で海外展開を加速

4月15日、SERES(赛力斯)グループの副総裁・康波氏は、AITO(問界)ブランドがエジプト市場に参入したことを発表しました。康波氏は「これはブランドのグローバル展開におけるマイルストーンであり、中国の新たなラグジュアリー自動車ブランドによる海外進出の新たな出発点でもある」と述べました。
今回、AITOはエジプトの現地企業・Kasrawy Groupと提携し、北アフリカ市場の開拓に乗り出します。これは中東地域における初の取り組みではなく、先月にはカタールのELYSEE CARSと協業し、販売・サービスのネットワーク構築を進め、高級スマートカーのエコシステム構築を目指す計画を発表しています。
AITOは、SERESとファーウェイが共同で開発したハイエンドのスマートカーブランドで、現在はM9やM7などの人気モデルを展開しています。
2024年、SERESの新エネルギー車の販売台数は42.69万台に達し、前年比182.84%の大幅増となりました。売上高は1,442億~1,467億元、純利益は55億~60億元に達し、見事に黒字転換を果たしました。
しかし、2025年に入り、SERESの業績には陰りが見え始めます。ファーウェイとの提携という強力なブランド力を持ちながらも、3月の新エネルギー車販売台数は18,805台で、前年同月比32.19%減。本年1〜3月の累計販売台数は54,552台で、前年同期比42.47%減と、ほぼ半減に近い状況です。一部のアナリストは「SERESの短期的な販売減は、市場競争の激化や製品サイクルの影響によるもの」と分析していますが、国内市場での競争の激化や、ファーウェイとの提携車種が増える中で、AITOの優位性が薄れていることが販売減少の大きな要因であると考えられます。
国内市場での苦戦を受け、海外展開はSERESが局面を打開するための鍵となる可能性があります。AITOの海外展開、特に高級市場への進出が進めば、同社にとって新たな成長機会が開かれると期待されています。
ただし、現時点でのSERESの海外戦略を見ると、地域によっては「あえてAITOブランドを前面に出さず、SERES単独のブランドを強調する」など、ファーウェイとの関係を一定程度切り離す動きも見られます。これは、連帯制裁のリスクを回避する狙いがあると見られています。