BYD、2024年日本市場でEV販売2223台、月平均185台の低迷

日本自動車輸入組合(JAIA)の統計によると、2024年のBYDの日本での販売台数は2223台で、前年比54%増と一見高い成長率を示していますが、月平均販売台数は185台に過ぎません。日本の輸入乗用車販売台数ランキングでは14位で、シェアは0.99%となっています。それでも2023年の17位(シェア0.59%)と比較すれば、順位を上げています。

BYDは日本市場に対して非常に意欲的で、計画では2025年までに日本国内の専売店を100店舗に増やし、年間販売台数を3万台を目指す計画を掲げています。これは2024年の販売台数と比較して13倍以上の成長を目指していることになります。

しかし、日本市場全体の販売動向を見ると、電気自動車(EV)は日本でますます人気を失っているようです。2024年の年間販売台数はわずか5万9736台で、2023年と比べて33%減少しました。その中でも、軽EV「サクラ」などを有する日産自動車が依然としてトップに立っていますが、販売台数は前年比44%減の3749台にとどまりました。トヨタも前年比30%減の2038台に減少しました。また、世界的に高い販売実績を誇るテスラでさえ、日本での年間販売台数は5600台程度(注)にとどまっています。これらの数字は、日本の消費者が電気自動車に対してあまり好感を持っていないことを示しています。

日本における電気自動車の普及率が低い理由には、複数の要因があります。まず、日本では中国のように充電スタンドが大量に整備されておらず、外出先での充電が不便です。また、電気自動車の価格はガソリン車に比べて高めであり、日本では燃費のよいハイブリッド車が普及している一方、電気料金は中国よりもかなり高いため、使用コストが必ずしもディーゼル車やガソリン車より安いわけではありません。さらに、政府の補助金の規模も縮小傾向にあります。経済産業省の2025年度予算の概算要求額は1000億円にとどまり、前年よりも減少しています。補助金が減少すれば、電気自動車の販売減少がさらに加速する可能性があります。

BYDは多額の投資を行い、日本市場への本格参入を果たしましたが、年間の販売台数はわずか2200台余りにとどまりました。収益面では大きな赤字が避けられない状況です。それにもかかわらず、なぜBYDは日本市場への参入を選んだのでしょうか?

それは、日本が自動車先進国であること、そして中低価格帯の車が主力で、日本メーカーが圧倒的な影響力を持つ市場であるからです。BYDが日本市場に参入し、一定の存在感を確立できれば、自社に先進国市場の壁を突破する能力があることを証明できます。これは、実質的には「自動車ブランドの広報活動」であり、単なる「販売活動」ではありません。つまり、BYDは巨額の資金を投じて広告活動をしているというわけです。

しかしながら、日本の自動車ブランドは国内市場で90%以上のシェアを占めており、日本の消費者は国産車ブランドへの信頼が非常に高いため、外国ブランドが市場を開拓するのは極めて困難です。韓国ブランドが長年日本市場で苦戦してきた状況を見れば、BYDの広告活動が効果を発揮するかどうかについては「難しい」という答えが妥当でしょう。

注:テスラの販売台数は公表されていませんが、JAIAの統計における「Other」にほぼ該当すると考えられています。2024年の「Other」の台数は5,677台です。

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