BYD、新型軽EV「RACCO」、欧州投入の可能性も示唆、参入なら「価格破壊」も視野に

最近、東京の「ジャパン・モビリティ・ショー」で公開されたBYDの軽自動車規格の電気自動車「RACCO」が話題となっています。海外市場向けに専用設計された同社初のモデルであり、業界では RACCO がグローバルのエントリーEV市場における新たな「価格破壊者」の有力候補とみられています。複数の分析によれば、RACCO は今後ヨーロッパ市場に投入され、現地の低価格EVセグメントの空白を埋める可能性もあるとされています。

RACCO の初期展開は日本が中心ですが、BYD 幹部は同車をヨーロッパに導入する可能性を示唆しています。現在、ヨーロッパで販売されている低価格EVとしては、ダチア Spring(14,995ポンド)や零跑(Leapmotor)T03(15,995ポンド)が挙げられます。一方、BYD がヨーロッパで販売中の Dolphin Surf の価格は 18,650ポンドからとなっています。RACCO が欧州市場に投入される場合、予想販売価格は 1.5万ポンド未満とされ、これら2車種に直接対抗しつつ、BYD の欧州ラインナップの価格帯をさらに引き下げることになる見通しです。

BYD の李柯(Stella Li)副総裁は「Autocar」のインタビューで、RACCO がグローバル市場における「経済型エントリーEV」として重要な役割を担う可能性があると述べています。また、同社は欧州委員会が新たに提起した「E-car」カテゴリーにも注目しているといいます。欧州委員会のフォン・デア・ライエン(Ursula Von der Leyen)委員長は、欧州は独自の「E-car」を構築すべきだと呼びかけ、中国など他国にこの市場を支配させてはならないと強調しています。

李柯氏によると、同社の現在のグローバル重点は依然としてハイブリッド車の拡大にあり、RACCO の欧州発売は「現時点では優先事項ではない」とのことです。そのため、BYD の欧州市場向け製品ラインナップが拡大する中でも、RACCO の位置づけは Dolphin Surf より下位になるとみられています。

一方で、BYD は欧州での現地生産体制の強化を進めています。今年9月時点で欧州の最量販プラグインハイブリッド車となった Seal U は、同社のトルコ新工場で生産される最初のモデルに決まっており、現地生産戦略は今後も BYD の欧州競争力を高める基盤となる見通しです。

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