BYD宋PLUSが「生産終了」?──実際はモデルチェンジと販売体系の調整

最近、インターネット上で「BYD宋PLUSシリーズがすべて生産終了した」という情報が広まり、多くのオーナーや購入を検討している消費者の間で戸惑いの声が上がっています。かつて累計販売台数が100万台を超えた人気SUVは、本当に市場から姿を消したのでしょうか。

宋PLUSは2021年の登場以来、BYDラインナップの中核を担ってきたモデルです。宋シリーズには、純電動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、そして従来型ガソリン車が含まれています。とりわけ宋DM-i(PHEV)は、新エネルギー車政策の恩恵を受け、燃費と航続距離のバランスを両立させたファミリーカーとして高い評価を得てきました。そのため「家庭の第一台目のハイブリッド車」とも呼ばれていました。

現在、BYDは「王朝ネットワーク」と「海洋ネットワーク」という二つの販売チャンネルを展開しています。王朝ネットワークでは「秦(チン)」「漢(ハン)」「唐(タン)」「宋(ソン)」など、中国の王朝名を冠した車種を扱い、海洋ネットワークでは「海豹(シール)」「海狮(シーライオン)」「海豚(ドルフィン)」「海鸥(シーガル)」といった海洋生物の名を持つモデル群を展開しています。

宋PLUSはもともと王朝ネットワークに属していましたが、海洋ネットワークの立ち上げ当初、同体系の車種ラインナップが不足していたため、一時的に海洋ネットワークの販売ラインに組み入れられました。2022年から2024年にかけて、宋PLUSは海洋ネットワークの販売を支える主力車種となり、その販売台数の「半分を占める」ほどの存在でした。

しかし宋PLUSは、もともとガソリン車をベースにした「油改電(エンジン車を改造した新エネルギー車)」モデルであり、2025年の市場基準から見ると、すでに設計が古くなっていました。海洋ネットワークでは近年、独自の命名体系に基づく新世代モデル──海豹、海狮、海鸥など──が次々と登場し、宋PLUSの立ち位置は次第に曖昧になっていきました。
一方、王朝ネットワークでは新型SUV「宋L」が登場し、自然と宋PLUSの後継的なポジションを引き継いでいます。

ブランド全体の構成から見ても、王朝ネットワークにおける正統な「宋」ブランドとしての宋L、そして海洋ネットワークにおける同クラスの海狮06はいずれも販売が好調で、すでに宋PLUSの役割を十分に担っています。2025年はBYDにとって全体的なモデル世代交代の時期にあたり、従来の主力車種である「秦」「漢」「宋」「唐」はいずれもモデルサイクルの後期に入っています。その中で海狮06の投入は、宋PLUSの代替を明確に意識したものといえます。

実際、BYDは2月10日に公式公告を発表し、「2025年型宋PLUS DM-i 非智驾版(スマート運転機能非搭載モデル)」の生産を正式に終了すると告知しました。その後継として、「智驾版(スマート運転版)」が全面的に市場を引き継ぐ形となります。智驾版は全車に「天神之眼」高性能運転支援システムを標準装備し、都市NOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)および高速道路ナビゲーション走行をサポートします。装備は大幅に強化されたにもかかわらず、「装備を増やしても価格据え置き」という方針が採られました。生産ラインはすでに全面的に智驾版へと切り替えられており、非智驾版は一部在庫車のみが残る状態となっています。

9月以降、一部の消費者が4S店や海洋ネットワークの展示店舗を訪れた際、宋PLUSの展示や販売が終了していることに気づきました。その代わりに並んでいるのは新型の海狮06です。現在、BYDの公式サイト上では宋PLUSが依然として海洋ネットワークに掲載されていますが、実際には海狮06と宋Lがそれぞれ海洋ネットワークと王朝ネットワークにおいて宋PLUSの役割を引き継いでおり、近く宋PLUSが海洋ネットワークから姿を消すのは、自然な流れといえるでしょう。

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