CATL、リン酸鉄リチウム・CTB統合技術でホンダと連携強化 〜中国EV電池シェア低下でも技術主導で巻き返し狙う〜

5月16日、CATL(寧徳時代)とホンダ中国は、戦略的提携の深化に関する覚書を締結しました。両社は、リン酸鉄リチウム電池、CTB(Cell to Body:バッテリーと車体の一体化)統合技術、ハイブリッド車用バッテリーの研究開発、12Vバッテリー技術、さらにはサプライチェーン管理といった複数の分野において、包括的な協力を展開していきます。この署名式には、CATLの会長兼CEOである曾毓群氏、ホンダ中国の本部长である五十嵐雅行氏などの幹部が出席し、両社の関係が新たな段階へ進んだことを示しています。
今回の提携は、CATLの動力用バッテリー分野における技術的なリードを一層強化するとともに、自動車メーカーとの協業体制をさらに高めるものです。特に、CTB統合技術の推進により、新エネルギー車の軽量化とエネルギー効率の向上が期待されており、車両の研究開発および量産のスピードアップにも貢献する見込みです。また、リン酸鉄リチウム電池が持つ高い安全性とコスト管理の優位性は、ホンダの新エネルギー戦略とも高い親和性を有しています。
このような協力の背景には、中国のリチウム電池業界が急速な再編の過程にあるという現実があります。2025年4月、中国の新エネルギー車の販売台数は122.6万台に達し、前年同月比で44.2%の成長を記録しました。動力電池の搭載量も54.1GWhに達し、同様に52.8%の増加となっています。CATLは21.2GWhの搭載量で業界首位を維持しているものの、市場シェアは39.44%に低下し、2023年11月以来初めて40%を下回る結果となりました。これにより、市場競争の激化が明確に現れています。
一方、BYDは垂直統合型の産業チェーンを武器に、4月には14.17GWhの搭載量で26.35%のシェアを獲得し、リン酸鉄リチウム電池市場においてCATLに迫る勢いを見せています。中堅企業も各自の強みを活かして台頭しており、GOTION(国軒高科)は初めてEVE Energy(億緯鋰能)を搭載量で上回り、業界第4位に浮上しました。海外での搭載量も前年同期比で108.2%と大きく伸びています。また、Sunwoda(欣旺達)などの企業はエネルギー貯蔵分野に注力し、4月の市場全体で前年同月比75.5%の成長を遂げています。
グローバル展開の面では、CATLは依然として26.9%の海外市場シェアを維持しリードしていますが、成長率(53.6%)はGOTIONの555.2%には及びません。EUの「新電池規則(EU Battery Regulation)」や北米市場の政策変更などを背景に、企業のグローバルな運営能力は今後さらに試されることになるでしょう。
現在、リチウム電池業界は、技術転換と市場構造の再編という重要な局面にあります。大手企業は戦略的提携と技術革新によって競争優位性を構築する一方、中堅企業は海外市場や新たな応用分野において成長の突破口を模索しています。固体電池やナトリウムイオン電池など、次世代技術の実用化が進む中、今後の業界競争は、技術の多様化とグローバルな展開を軸とした新たなステージへと突入していくでしょう。