競争激化に備えるGAC――自主ブランドBU改革でHYPTECとAIONを統合

12月18日、GAC(広汽集団)は「番禺アクション」と呼ばれる改革計画に基づき、自主ブランドを対象としたBU(Business Unit、事業部)改革を正式に始動しました。これにより、HYPTEC(昊鉑、旧Hyper)AION(埃安)の2つのサブブランドが先行して同一事業部のもとに組み込まれ、あわせて販売チャネルの融合も進められることになります。

GACが公表した計画によると、HYPTECとAIONは既存のディーラー網を基盤にチャネル統合を進め、将来的には同一の4S店で両ブランドの販売、アフターサービス、整備を行える体制を構築します。高級ブランドと大衆向けブランドが、同一の販売ネットワークの中で並行して展開される形となります。

ブランド戦略については、HYPTECは引き続き高級車市場に注力し、AIONは大衆市場を主軸とする方針に変更はありません。GAC側は、両ブランドの市場における棲み分けは維持されると強調しています。価格帯を見ると、HYPTECの車両はおおむね15万~100万元に分布し、主力モデルは20万元前後に集中しています。一方、AIONは約6万~40万元の価格帯で、主力モデルは10万元前後に位置付けられています。販売規模では、直近1年間の累計小売台数がHYPTECは約1万5600台、AIONは約28万6000台と、両者の規模には大きな差があります。

チャネル融合は2段階で進められる予定です。第1段階は2026年1月31日までに完了し、HYPTECとAIONの販売・サービスを統合した最初の拠点が正式に公表されます。対象は全国30都市以上に及び、単一店舗で2ブランドを同時に運営する体制が整います。第2段階は2026年3月31日までに完了予定で、最終的には販売網を全面的に統合し、1000拠点超、全国の四線級以上の都市を100%カバーするネットワークの構築を目指します。この計画により、HYPTECのサービスネットワークは現在の約200拠点から1000拠点規模へと拡大し、ユーザーの利便性向上が期待されています。

HYPTECとAIONに加え、Trumpchi(伝祺)についてもBU化に向けた準備が進められており、またGACがファーウェイ乾崑と協業して立ち上げた「啓境」ブランドは、すでに独立した運営体制に移行しています。全体としてGACは、BU改革を通じて自主ブランドの事業構造を再構築し、業界の構造的変化に対応しようとしています。

業界全体に目を向けると、2024年以降、自動車メーカーによるブランドや組織の統合は明らかに加速しています。SAIC(上汽集団)による「大乗用車」事業の立ち上げ、Dongfeng(東風汽車)によるナミ・奕派・風神の統合、Geely(吉利汽車)によるZeekr(極氪)とLynk & Co(領克)の統合推進などは、いずれも同様の潮流を示しています。

一般に、こうしたブランド統合は、競争が激化する市場環境の中で資源配分の効率を高め、シナジーを強化するための現実的な選択と受け止められています。Xpeng(小鵬汽車)の何小鵬CEOも、ハードウェア主導の時代にはマルチブランド戦略に一定の合理性があったものの、ソフトウェアや知能化の重要性が高まるにつれ、企業は組織やブランドの在り方を見直す必要に迫られると指摘しています。

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