GAC、国内販売不振で海外シフト加速 ブラジル進出と現地生産を計画

5月24日、GAC(広州汽車集団)はブラジル市場への本格進出を発表し、2026年末までに現地工場の建設を開始する計画を明らかにしました。ブラジルは世界第6位の自動車市場であり、電動化が急速に進んでいることから、中国の主要メーカーにとって有望な新興市場と位置付けられています。

GACはブラジル市場に総額60億レアル(約1,514億円)を投資し、今後5年間で10万台の販売を目指します。まずは今週末、現地で4車種の輸入電気自動車(EV)と1車種のハイブリッドモデルを発表し、販売を開始します。

こうした海外展開の背景には、中国国内でのGACの販売不振があります。

今年1〜4月の販売台数は前年同期比で10.2%減の48.75万台。主力のGACホンダとGACトヨタはともに20%超の減少となり、合弁2社の売上も27.8%落ち込みました。EV化の遅れにより、日系合弁ブランドは中国市場で競争力を失いつつあります。

一方、地場ブランドの「伝祺(トランプチ)」は前年比24%減、「Aion」はほぼ横ばいと、XpengやLeapMotorなどのEV新興メーカーとの差が広がっています。EV市場全体が価格競争に突入する中、GACも値下げ合戦に巻き込まれ、収益面でも厳しい状況が続いています。

このような国内の逆風が、GACの海外戦略、特にブラジル進出と現地生産計画を後押しする一因となっています。

ブラジル自動車販売業者連合会によると、2024年1~4月の電動化車両(EVおよびハイブリッド)の販売台数は前年同期比37.4%増の7万0450台に達しており、市場全体の成長率(3.4%増、71万4800台)を大きく上回っています。こうした中、BYDやChery(奇瑞)、GWM(長城汽車)といった中国メーカーもすでにブラジルでの展開を進めており、中国ブランドの存在感はさらに高まっています。

GACインターナショナル総裁の衛海岗氏は、ブラジル市場の競争環境は厳しいとしながらも、米中対立などの外部要因による影響は限定的であり、中国とブラジル間の関係性に基づいた長期戦略を堅持していると述べています。現地企業とのパートナーシップ交渉も進行中で、2026年第4四半期には現地工場の建設に着手する予定です。

今回のGACの動きは、中国車メーカーが欧州やASEANに続き、中南米市場にも本格的に進出していることを示しており、ブラジルにおけるEV戦略の成否は、今後のグローバル展開における重要な分岐点となります。

25

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。