鴻蒙智行の協力方式ではない?GACとファーウェイ、15億元で新ブランド開発プロジェクト始動
1月10日夜、GAC(広汽集団)は公告を発表し、ファーウェイ(華為)との協力プロジェクトにおける新たな進展を明らかにしました。この公告によると、GACはGHプロジェクト会社(仮称、登録名は最終決定による)を設立し、登録資本金を15億元とします。GHプロジェクト会社を基盤に、ファーウェイとの緊密な連携を通じて、双方の強みを活かした革新的なモデルを構築します。具体的には、製品開発、マーケティング戦略、エコサービスなど多方面で全面的な協力を進め、新しいプラットフォームと先進技術に基づいた新たな自動車ブランドを創造し、一連のスマート化された新車モデルを市場に投入する計画です。
昨年11月末、GACは「トランプチー(Trumpchi伝祺)」「アイオン(AION埃安)」「ハイパー(Hyper昊鉑)」に続き、新たな高級スマート電気自動車ブランドを立ち上げ、ファーウェイとの提携に基づく新ブランドを展開する計画を発表しました。
それから2か月足らずで、プロジェクトは新たな進展を遂げました。一部の報道では、GACと最初のモデルは30万元級の高級スマート電気自動車として位置付けられると伝えられています。
ファーウェイの「エコシステム型自動車製造システム」には、以下の3つの主要な協力方式があります。
- 鴻蒙智行(HarmonyOS Intelligent Driving)方式(旧「華為智選(ファーウェイ・スマートセレクション)」方式):製品の位置付け、設計、マーケティング、販売チャネル、品質管理の全体をファーウェイが担当。OEMは受託生産を担う。
- HI(Huawei Inside)方式:スマートコックピットや自動運転などのソフト・ハードを一体化した完全なソリューションを提供し、車両の定義や開発、販売は自動車メーカーが主導。
- サプライヤー方式:研究開発や製造には深く関与せず、部品またはパッケージを提供。
最も広く知られているのは「鴻蒙智行」で、SERES(賽力斯)、Chery(奇瑞)、BAIC(北汽)、JAC(江淮)などとの提携に基づくモデルであり、ファーウェイがデザインから製造、販売までのプロセスを全面的に管理します。
昨年11月末の初発表時、外部ではGACとファーウェイの協力方式が大きく議論されました。当時、「GACとファーウェイが『第五の界』(注)を作る」という憶測がありましたが、現在の状況を見る限り、その可能性は低いとされています。GACもファーウェイも、このような噂を否定しています。
GACは、「今回の協力モデルは鴻蒙智行方式とは異なり、イノベーションを基盤とした差別化発展を追求するもので、既存モデルの継続や複製ではない」と説明しています。また、ファーウェイの端末事業グループ(BG)会長の余承東氏も、「鴻蒙智行による『第五の界』の追加展開は、リソースと人員の制約により行わない」と明言しています。
さらに、発表時の両社の署名代表を見る限り、鴻蒙智行方式とは異なる可能性が高いです。GAC側からは曾慶洪(取締役会長)、冯兴亜(総経理)、閤先慶(副総経理)の3名が、ファーウェイ側からは徐直軍(輪番取締役会長)、靳玉志(スマートカー事業ユニットCEO)、遅林春(副総裁)の3名が出席しました。一方で、鴻蒙智行のリーダーである余承東氏は不在でした。
そのため、多くの推測では、GACとファーウェイの協力は「HI」を基盤とした新たな形態で、長安汽車とファーウェイの提携モデル「AVATA(阿維塔)」に似ていると考えられています。昨年12月4日、長安汽車は投資家への回答で、「AVATRとファーウェイは共創・共栄の戦略的パートナーであり、協力方式は『HI PLUS方式』へと進化した」と述べ、協力の深さと広さが一層強化されたと説明しています。
GACとファーウェイの今回の協力においても、ファーウェイは新ブランドのサポートを、ブランド、技術、研究開発だけに留まらず、販売チャネルやサービスにも及ぼすと予測されます。一部の見方では、GACとファーウェイの提携プロジェクトは事実上の「小智選(ミニ鴻蒙智行)」であり、ファーウェイが研究開発で主導的な役割を果たすとされています。
確実に言えるのは、GACとファーウェイの協力は、「HI PLUS」または「小智選」と呼ばれるにせよ、基本的にファーウェイが研究開発で主導権を握るだろうということです。もし、両社の協力が、SERESとファーウェイのように「AITO(問界)」のような市場を賑わせるモデルを生み出すことができれば、他の自動車メーカーもファーウェイのエコシステムに参加する可能性が高まるでしょう。これにより、ファーウェイを中心としたスマートドライビングアライアンスの形成が予想されます。
注:ファーウェイは、鴻蒙智行方式に基づき、「AITO(問界)」「LUXEED(智界)」「STELATO(享界)」「MAEXTRO(尊界)」という4つの「界」ブランドを展開しています。