GeelyとFord、欧州現地生産を軸に協力枠組みを協議

Geely(吉利)とFord(フォード)は、協力関係の構築に向けた協議を進めていると報じられています。交渉の柱となっているのは、GeelyがFordの欧州における遊休工場の生産能力を活用し、現地市場向けの車両を生産するという枠組みです。また両社は、自動運転技術やコネクテッドカー関連技術の共有についても検討を行っています。
ロイター通信をはじめとする複数のメディアの報道によれば、FordとGeelyの接触は数カ月前から続いており、最近になって交渉が大きく前進しているとされています。先週にはGeelyの幹部が米国ミシガン州を訪れ、Fordの経営陣と会談を行いました。今週にはFord側も代表団を中国に派遣し、協議を加速させています。現在、最も具体的に議論が進んでいるのは、「欧州での現地生産」を軸とした生産面での協力です。
ロイター通信が関係者の話として伝えたところによると、協力拠点として最も有力視されているのは、スペイン・バレンシアにあるFordの工場です。同工場では現在、主にFord Kuga SUVが生産されていますが、稼働率は低く、余剰能力が大きい状況にあります。もし提携が実現すれば、Geelyはこの既存の生産拠点を活用して欧州での現地生産を行うことが可能となり、中国製電気自動車に対してEUが課している高額な追加関税を回避できるようになります。これにより、欧州市場における価格競争力の向上が期待されます。一方のFordにとっても、新たな設備投資を行うことなく工場の稼働率を引き上げ、固定費負担を軽減できるというメリットがあります。
製造面での協力に加え、両社は車両技術の共有についても協議を進めており、自動運転システムやコネクテッドカー向けソフトウェアなどの分野が検討対象となっています。
Geelyにとって、欧州市場での現地生産を実現することは非常に重要な意味を持ちます。同社はボルボ、ロータス、Zeekr(極氪)、Lynk & Co(領克)など複数のブランドを傘下に持ち、世界市場で大きな存在感を示していますが、Geelyブランドとしての欧州販売は依然として限定的です。Fordの欧州工場を活用して迅速に生産体制を構築できれば、関税の影響を避けられるだけでなく、納期短縮や物流コストの削減も可能となり、欧州市場の本格開拓に向けた重要な一歩となります。
データによれば、Geelyの2025年の総販売台数は300万台を超え、前年比39%増を記録しました。ボルボ・カーズやロータスなどの関連ブランドを含めると、Geelyは中国でBYDに次ぐ第2位の自動車メーカーとなっています。創業者の李書福氏は長年にわたり積極的に海外展開を推進しており、2010年にはFordからボルボ・カーズを買収するなど、Geelyのグローバル化の基盤を築いてきました。
もっとも、現時点でFordとGeelyの協力はあくまで交渉段階にあり、最終的に合意に至るかどうかは不透明です。Ford側は「当社はさまざまな企業と幅広いテーマについて協議を行っており、合意に至る場合もあれば、そうでない場合もあります」とコメントしています。一方、Geelyは本件について公式な見解を示していません。