GWM(長城汽車)とファラデー・フューチャー、協力か? 迂回ルートで米国市場に挑む

7月24日、複数のメディア報道によりますと、中国の自動車メーカーGWM(長城汽車)が、中国系米国EVベンチャーのファラデー・フューチャー(Faraday Future、以下FF)と提携し、「間接的な海外進出」の形でGWMを米国市場に進出させる方針を固めたそうです。この協業における対象車種は、FFのセカンドブランド「FX」の第1弾モデル「FX Super One」であり、GWMのWEY(魏牌)「高山」モデルのライセンスを取得したとされています。

7月17日には「FX Super One」が正式に発表されました。FFの発表によりますと、発表会終了時点でこのモデルの有料予約件数は1万台を超え、10,034台に達したそうです。この車は、従来型MPVのフォルムと未来感あるフロントデザインを融合しており、フロントグリルには「Super EAI F.A.C.E.(Front AI Communication Ecosystem)」と名付けられた情報表示可能な大型LEDパネルを搭載しています。価格はまだ公式発表されていませんが、「やや高めだが親しみやすい」とされており、外部の推測では8万ドル未満になる可能性があるそうです。

FX Super One

写真:ファラデー・フューチャー

一部の報道によると、今回の提携は、FF創業者の賈躍亭氏が昨年提唱した「中米自動車産業の橋渡し戦略」の重要な一環です。この戦略は、FFの米国内の企業構造とコンプライアンス体制を活かし、中国製のスマートEVに「米国籍」を持たせ、合法的に米市場へ進出させることを目的としています。もし提携が事実であれば、GWMは、この戦略に実際に参加・推進する最初の中国自動車メーカーとなりました。

実際、GWM会長の魏建軍氏は今年5月、来訪したブラジルのルーラ大統領にWEY「高山」を紹介した際、「この車はグローバル戦略車であり、2024年後半には海外市場に投入予定」と明言しており、「FX Super One」はこのグローバル展開の第一歩になると見られています。

GWM WEY「高山」

写真:GWM

また、一部のネットユーザーは、FFの公式サイトにかつて「高山9」という記述があり、「全車種にスマート電動四輪駆動システムを標準搭載」とされていたことを発見しましたが、現在はその記述が削除されており、両社の提携内容がまだ調整中であることを示しているようです。

現在、GWM側からこの提携に関する公式なコメントは発表されていません。ただし業界関係者によりますと、FFは新型車発表前に1億500万ドルの資金調達契約を完了しており、「FX Super One」の量産と納車のための資金を確保したとされています。今後は、この資金を活用し、FXブランドおよびAI関連技術の開発を加速させる方針だそうです。

賈躍亭氏は中国の実業家で、2011年に中国のテクノロジー企業LeEco(楽視網)を設立し、動画配信サービスやスマートフォン、テレビ、電気自動車など多岐にわたる事業を展開しました。2014年にはアメリカで電気自動車メーカーのFFを立ち上げ、未来的なデザインと先進技術を特徴としています。

しかし、過度な投資と資金調達の失敗により財務状況が悪化し、2017年には主要事業の一部を売却して経営再建を余儀なくされました。FFも資金調達の難航や生産遅延などの課題に直面しています。現在はLeEcoの再建を進めるとともに、FFのCEOとしても活動を続けています。

賈氏の経営手法や融資戦略は、中国のテクノロジー業界における野心的なアプローチの象徴として、多くのベンチャー企業の模範となっています。

賈躍亭氏

写真:ファラデー・フューチャー

「FX Super One」は、賈躍亭氏が巻き返しを狙う重要な布石とされています。一方で、GWMはこのプラットフォームを活用し、米国市場の政策的・技術的な障壁を突破してグローバル展開の第一歩を踏み出そうとしているようです。

魏建軍氏と賈躍亭氏の協業に関する噂については、多くのネットユーザーが懐疑的な見方を示しています。GWMのような伝統的な自動車メーカーが、FFのようなベンチャー企業との提携や「パクリ」騒動について公式にコメントすることはほとんどなく、両者の立場の差から沈黙を守るだろうと考えられています。また、FFが改造するのは購入後の車両であり、あくまで「ユーザーの個人行動」に過ぎず、企業間の責任の所在は曖昧だという意見もあります。

さらにネット上には、「賈躍亭が『代理購入スタイルの自動車製造』という新たなビジネスモデルを開発した」と皮肉るコメントも見受けられます。具体的には、「車を分解しラベルを貼り直し、アメリカで再組み立てすることで米市場に参入する」という手法だと言われています。

多くのネットユーザーは、賈躍亭氏の「巧みな資金調達能力」については一定の評価をしています。たとえ資金の返済期限を守らず「空手形」を何度も出したとしても、資金を集め、リソースを動かし、コンセプトを練り上げ、巧妙な話術で投資家を納得させる能力には驚嘆する声が多いです。「人間性には疑問があるが、資金調達の腕前は一流」「現在では国内の自動車業界の経営者たちも彼の『話術』を学び、ほら吹きの名人に成長した」という意見も聞かれます。

113

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。