NETA、Eラウンドで最大450億元調達 — アニメ映画ブームに便乗し再起を狙う

 嵐の中に揺れるNETA(哪吒汽車)に、好材料が舞い込んでいます。

Eラウンドで最大450億元の資金調達を発表

 2月10日、NETAの親会社であるHozon(合衆新能源)は、株主向け説明会でEラウンドの資金調達を進行中であることを発表しました。調達規模は約400億元から450億元を予定しており、リード投資家が約300億元を出資します。同時に、今後3年間の事業運営計画も株主に提示し、資本投入による事業再建およびグローバル市場拡大を目指す方針を示しました。

アニメ映画「哪吒之魔童闹海」の人気に便乗?

 今回の資金調達計画は、アニメ映画「哪吒之魔童闹海」の話題性を活用しようとする動きにも見えます。同作品は今年の春節期間中に興行収入が80億元を突破し、中国映画史に新たな記録を刻みました。そして、NETA(哪吒)のブランド名は映画の主人公「哪吒(ネッツァ)」と同じです。

 この映画の熱狂を最大限に利用するため、春節期間中にNETAは全国173のNETA車オーナーズクラブを動員し、「NETA(哪吒)に乗って『哪吒』を観に行く」イベントを実施しました。46万人のNETA車オーナーを映画館に招待し、「哪吒之魔童闹海」を観賞するキャンペーンを展開しました。

戦略の失敗と経営危機

 実は、NETAは2019年にも前作「哪吒之魔童降世」とコラボレーションし、150万元を投資して映画を支援しました。映画の成功がブランド認知度向上につながることを期待しました。しかし、この戦略は期待した効果を生まず、2024年には販売台数が前年から58.77%減少し、国内市場の年間販売台数は4.35万台まで落ち込みました。2023年の12.7万台と比較すると、大幅な減少となりました。

 さらに、財務報告によると、2021年から2023年の期間でNETAの累計損失は180億元を超え、株式の凍結額は41億元に達しました。こうした経営の厳しさが続く中、NETAは今後の成長戦略を打ち出しました。

NETAの新生存戦略:2~3年で収益転換を目指す

 NETAは「国内外の販売比率を50%ずつにする」という目標を掲げ、2025年には営業利益を黒字化し、2026年には全面的な収益化を実現する計画を示しました。そのための主要戦略として以下の3点を挙げました。

    • IPO(新規株式公開)の加速:資本調達ルートを拡大し、市場での信用を向上させます。
    • 製品構造の最適化:コア市場に注力し、より競争力のある車種を投入します。
    • グローバル市場の開拓:海外市場の成長を活用し、新たな売上の柱を構築します。

「哪吒」のブランド名は呪いか、それともチャンスか?

 NETAの経営危機により、「哪吒というブランド名が足かせになっているのではないか」という疑問が持ち上がり、一時は社名変更も検討されました。しかし、「哪吒之魔童闹海」の興行収入が爆発的に伸びたことで、NETAは「今こそ巻き返しのチャンス」と捉えているようです。

 過去を振り返ると、2019年にNIO(蔚来)は70億元の資金調達によって危機を乗り越え、LeapMotor(零跑)は2024年第4四半期に製品戦略の調整を行い、黒字転換を達成しました。では、今回の40億元の資金調達はNETAの復活につながるのでしょうか?今後の経営判断と市場の反応が鍵を握っています。

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