NIO、3月10日に香港証券取引所に上場予定
経済誌「第一財経」によると、2月28日、ベンチャー系自動車メーカーのNIO(蔚来汽車)が、香港証券取引所の公聴会を通じて、同取引所のメインボードへの2次上場について原則的な承認を得たことを明らかにしました。今回の上場は「紹介上場方式」(イントロダクション方式)で、新株の発行や資金調達は行われません。NIOは2022年3月10日に株式コード「9866」での取引を開始する予定です。
2021年、同じベンチャー系の理想汽車とXpegn(小鵬汽車)が香港市場に相次いで上場しましたが、NIOはその後も大きな動きを見せませんでした。業界関係者の間では、NIOが香港またはシンガポールでの2次上場を検討しているとの噂が流れていました。NIOが香港証券取引所に提出した上場申請書によると、同社は香港の紹介方式による上場の他に、シンガポール証券取引所のメインボードにも紹介方式での第2上場を申請しており、具体的な上場日は審査中だと報じられています。
紹介上場(way of introduction)は、既存の発行済み株式を用いて上場する方法であり、新株の発行や既存株主の株式売却は行われず、資金調達を伴いません。
NIOはメディアに対し、「今回の香港株式市場への上場は、投資家に代替的な取引先を提供し、地政学的なリスクを回避しつつ、投資家層を広げることを目的としています。また、既存株主の利益を損なわないよう配慮しています」と説明しています。
自動車情報サイト「車雲網」が関係者に取材したところによると、近年の米中対立により地政学的環境は厳しくなっており、NIOは海外市場だけでなく国内市場でも資金調達を進める必要性を感じており、香港市場を中国本土市場への移行の中継点と位置付けています。
ある証券関係者は、「NIOの上場は資金調達を伴いませんが、上場後の融資には影響しません。上場後の株式発行は通常の株式発行と同じであり、香港市場に上場することで中国本土の投資家との間の投資ルートを拡大し、より容易に資金調達が可能となるでしょう」と述べています。
NIO自身も、「現在、約600億元の現金準備金を保有しており、短期的な資金調達の必要性はありません。充実したキャッシュフローは、将来の新車種の研究開発などにおいて強力な資金基盤を提供しています」とコメントしています。