自動車スタートアップ企業のSingulato(奇点汽車)、Bytonの二の舞になるか?

3年前、「5人のクルマ造り中年男の一日」という文章があった。NIOの李斌氏、小鵬汽車の何小鵬氏、Weltmeister(威馬汽車)の沈暉氏、Bytonの戴雷氏、そしてSingulato(奇点汽車)沈海寅氏=当時の5社の自動車スタートアップ企業の創業者の境遇が書かれていた。時は流れ、3年後にはこれらの5社のうち、先に飛び立ったものもいれば、業界から脱落したものもいた。一方、沈海寅氏と背後にあるSingulatoは、依然として彷徨っており、どこへ行こうとしているのかは不透明だ。

多くのスタートアップ企業は、いつ新車を発表するかという疑問に直面すると、「遅いものは速い」というややばかげた答えで答えるのが好きだ。同様に、Singulatoについては、2014年12月に設立されてから現在まで量産車が発売されておらず、現実を用いて上記のばかげた答えを否定している。5年余りの間に、Singulatoは100億元以上の融資を「燃やした」が、実質的なリターンは何も得られなかった。

調べによると、2015年から現在までにSingulatoは計6回の融資を行っており、それぞれ具体的な金額は詳細には明らかにされていないが、2019年までに融資総額は170億元を超えた情報はあった。Singulatoへの投資家には奇虎360、聯想之星、韜雲資本、博雍基金などが含まれており、最新の融資期間は2019年10月12日、投資者は伊藤忠商事で、融資額は約1億米ドル。

上記の資金調達の使途はどこだろうか。沈海寅氏の計画によると、主に初モデルの研究開発、量産、その後のマーケティング業務を推進する。このため、Singulatoが発表した安徽省銅陵工場建設計画によると、産業パーク事業の投資総額は80億元、年間生産能力は20万台、2017年6月に着工し、2018年10月末に1期工場の建設を完了する予定だった。

その後、Singulatoは、北汽集団傘下の「北汽昌河」と委託生産について話を進めていると発表し、2019年6月には「北汽昌河」の江西省景徳鎮工場がSingulatoに10万台の生産能力を提供できることを再度明らかにした。

これを受けて、一部のメディアは現地調査したところ、安徽省銅陵市にあるはずのSingulato工場は現在も空き地のままであることがわかった。背景は、安徽省銅陵工場建設プロジェクトの主要パートナーである「銅陵欣栄銅基新材料産業発展基金」が株主から撤退したという。

最近になって、Singulatoは新たな融資を獲得したという情報もあり、投資先は珠海奥東投資有限公司と国厚資本だった。また、創業者兼CEOの沈海寅氏は「今回の融資額は10億元だ」と述べたと報じられた。しかし、Singulatoはその後のメディアとのインタビューで、「弊社の10億元の新たな融資に関する報道はいずれも事実ではなく、沈海寅CEOの発言も事実ではない」と否定した。

大株主の撤退、融資失敗の噂は、かつて資本市場で追い風に乗っていたSingulatoも、この「寒い冬」の到来を避けることができないことを十分に示している。また、驚くべきことに、5年間で170億元を「燃やした」後、同じスタートラインから走り出したNIO、小鵬、Weltmeisterを参考にすれば、常識的にもSingulatoは一定の業界認知度とブランド力を得ることができたはずだ。

現在、テスラの国産Model 3の快進撃、NIO、小鵬、Weltmeisterなどのスタートアップ企業の安定的な成長に伴い、スタートアップ企業の土俵はますます混雑状態になっている。いまだ量産していないSingulato 初モデルのiS6はブランド力や認知度はもとより、製品力とコストパフォーマンスの面でも優位性がないので、「包囲網」が突破できる可能性はほとんどない。

この不運な自動車スタートアップ企業は、Bytonの二の舞になるのだろうか。それとももっと良い自分であり続けるのか。選択権は沈海寅氏に握られたままだ。

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