ステランティス、LeapMotorに15億ユーロ投資へ
ステランティス(Stellantis)と中国の新興自動車メーカーLeapMotor(零跑汽車)は10月26日、15億ユーロ相当の投資提携を発表しました。提携内容によれば、ステランティスはLeapMotorの株式の約20%を取得し、LeapMotorの取締役会に9議席のうち2議席を獲得します。
また、両社は共同出資し、海外事業を展開するための合弁会社「Leapmotor International」を設立し、海外市場への輸出と販売業務を行うとともに、現地でLeapMotor製品を独占的に製造する権利を持つことになります。
中国の自動車メーカーが電動化とスマート化の分野でリードする優位性がますます大きくなるにつれ、多くの外資自動車メーカーが中国メーカーとの提携を選択し、特に中国市場においてキャッチアップを模索し始めていますが、中国の自動車メーカーにとって、現在の段階で外資との提携を選択することは、目指す目標が異なるかもしれません。
今年7月、フォルクスワーゲングループ(以下は「VW」)が、Xpengと技術的枠組み合意に達しました。VWはXpengに約7億ドルの増資を行い、Xpengの約4.99%の株式を取得しました。両社はこのほか、中国市場に特化したVWブランドの電気自動車2種を共同開発し、VWのMEBプラットフォームに基づく製品ポートフォリオを補完し、2026年に市場に投入する計画です。
XpengとLeapMotorは、同様に外資系自動車メーカーに株式を売却しましたが、間には、明らかな違いが見られます。最も直感的な点では、いずれも株式を売却することですが、程度の差はあれ、Xpengは5%近くを売却し、LeapMotorは20%を気前よく「譲渡」したほか、海外事業について合弁会社も設立しました。
XpengとLeapMotorの提携で達成すべき目標にも違いがあり、XpengとVWの提携は依然として国内市場に焦点を当てていますが、LeapMotorは今回、主に海外展開に焦点を当てています。
今回の提携により、合弁会社のLeapMotor Internationalはステランティスが51%の持分を所有し、事実上Stellantisの子会社となります。
LeapMotorは、ステランティスに海外事業を譲渡した理由については、米国による元株主の制裁と関係しているとの見方はあります。
2022年11月25日、米連邦通信委員会(FCC)は中国企業5社が「米国の国家安全保障にとって受け入れられないリスクになっている」と発表し、ファーウェイとZTEのほか、LeapMotorの株主であったDahua Technology(浙江大華技術)もその中に名を連ねました。
メディアがLeapMotorの内部関係者の情報を引用したところによると、LeapMotorの経営者は米国の禁止令がLeapMotorの輸出や半導体などの部品供給に影響を与えることを懸念しています。また、ステランティスの投資の前提条件となっているのがDahua Technologyとの切り離しだと報じられました。LeapMotor は、Dahua Technologyと縁を切って、ステランティスと組むことで、海外市場進出のために必要不可欠な決断といえましょう。
欧州はステランティスの本拠地であり、欧州ではステランティスが約20%のシェアを占めていますが、ステランティスとの提携により、LeapMotorが欧州市場で成功するための一連の障害が取り除かれることになります。また、ステランティスはグローバル自動車メーカーとして、世界中で安定的な販売ネットワークを持ち、LeapMotorの重要な株主であり、同時にLeapMotorの合弁会社の重要なパートナーでもあります。ステランティスのグローバル市場における資源は、LeapMotorの将来の海外進出を加速するために活用できる重要な支持力となります。