LeepMotorの急浮上は、抱えていた昨年の受注残の消化に過ぎない
ベンチャー系自動車新勢力の4月の販売実績が発表され、LeapMotor(零跑)の4月の販売は計9087台となり、13カ月連続で前年同期比200%超増加し、Xpengなどを抜いて、初めて新勢力のトップに立ったことで話題となっている。LeapMotorの急浮上は4月になってからではない。3月同社の販売台数は10059台を記録して、4月よりも多かった。
ところが、これはこれまでに2万台近くの未消化の「C11」というモデルの受注残がたまっていたことが原因であることがわかった。つまり同社が、数多くの競合相手との競争に勝ち抜いたことを意味していない。2021年末時点でLeapMotorは計2.25万台のC11の注文を受けたものの、納車できたのは3965台にとどまった。
業界関係者は、多くの受注残を抱えている理由として、やはり生産能力が追いついていないことを挙げている。それまでに委託生産に頼っていた同社が、新エネルギー車の生産資格を得たのは昨年4月30日であり、実際自社で車を生産した期間は、わずか1年しかない。
LeapMotorは2015年12月に創業し、当時セキュリティ機器大手の大華(Dahuatech)の副会長兼CTO(最高技術責任者)で大華の共同創業者でもあった朱江明氏がCEOに就任した。
LeapMotorは、「全域自社研究」即ち、自動車に関するすべての技術を自社で開発して、優れた品質と技術水準を維持するという目標を掲げて、2019年から、EVクーペ「S01」、小型EV「T03」、中型のEV SUV「C11」の3モデルを発表した後、同年7月に初の量産モデルとなるS01を、2020年5月からはT03を、2021年10月からはC11を発売しはじめた。
一方、これまでの3年間のLeapMotorの研究開発投資額は、NIOやXpengなどベンチャー系自動車新勢力の4分の1にも満たず、すべての技術を自社で開発するには程遠いレベルである。
同社の小型EV「T03」はベンツのSmartを模倣したと指摘されたことや、4月25日に発表した国内初の量産可能なCTCバッテリー・シャシー一体化技術についても誇大宣伝だと批判されたこと、さらに、「S01」の初代ユーザーら20数名が2020年5月に起こした集団訴訟事件など、LeapMotorにとって厄介な出来事が相次いで起こり、同社の自社開発製品の品質、信頼性も疑問視されている。
さらに深刻なのは、研究開発投資が小さいにも関わらず、大幅な赤字を防ぐことはできないことである。過去3年間で、LeapMotorはすでに48億元の損失を出した。2021年の同社の販売台数43748台から計算すると、平均1台販売するのに6.5万元の損失を計上したことになる。
EVの潜在ユーザーを対象に行ったインタビュー調査では、約半分以上の消費者がLeapMotorというブランドを聞いたことがない。数多くの競合を相手に、今後同社は引き続きよいパフォーマンスを見せることができるかどうかは疑問である。