値下げを続けてきたテスラ、値上げに切り替える理由は

5月2日、テスラ中国の公式サイトによると、テスラは中国で販売する主力車種の価格を全面的に引き上げ、Model 3とModel Yの販売価格をいずれも2000元値上げした。

実際、テスラは今年に入ってから何度も価格を調整しており、その中で値下げが中心となっている。特に今年1月には、新エネルギー補助金の後退、動力電池のコストの高騰など、値上げ圧力が蓄積している中で、テスラは大幅な値下げを実施し、新エネルギー車産業ではかつてないほどの「値下げラッシュ」を引き起こした。多くの値上げを準備していた自動車メーカーが悲鳴を上げながら、テスラの値下げを追随せざるを得なかったのである。

最近ある政府系メディアの「北京商報」は、「テスラの値下げは人を傷つけ己を傷つける」という記事を掲載した。内容は問題のとおりであるが、ここでいう「人を傷つける」とは、多くの消費者を傷つけることではなく、国内他ブランドを指しているのである。ネット上では、消費者にとっていいことをしたテスラを批判する官製世論がからかわれて、「テスラの悪意に満ちた値下げ」と皮肉った言い方が流行っている。今回テスラの値上げは、ネット上で「テスラは、メディアの批判をかわすために善意に満ちた値上げをした」と揶揄されている。

今回値上げの本当の理由について、テスラ中国側は現時点で説明を控えている。しかし、第1四半期の純利益の減少と最近の資本市場でのパフォーマンスを見ると、値上げは低下した利益率を修復するためのものであり、一方で投資家の信頼感を落ち着かせるものでもあろう。

最新の決算データによると、2023年第1四半期のテスラの売上高は前年同期比24%増の233.3億ドルで、同期の純利益は25.1億ドルで、前年同期の33.18億ドルから24%減少している。

純利益の大幅な減少についてテスラは、「新工場が十分に活用されていない」ことが利益率を押し下げたことに加え、原材料、大口商品、物流、品質保証コストの増加、車両の平均販売価格の低下、4680電池の生産コストの増加、伝統的な自動車メーカーへの炭素排出クレジット販売収入の減少が収益性を前年同期から低下させたと説明した。

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