JAC株主割当増資、VWは新エネ車合弁企業の支配権を強化

地方国有メーカーの江淮汽車(以下は「JAC」)は9月13日、同社の2021年度の株主割当増資が中国証券監督管理委員会発行審査委員会の審査を経て可決されたと発表した。これまでに発表された株主割当増資計画案によると、JACは支配株主の江汽控股(JAC Group Holdings Limited)に株式を非公開で発行し、調達資金は13億元以上、20億元以下とし、発行費用を差し引いた資金はすべて銀行融資の返済と流動資金の補充に充当する。

JACによると、株主割当増資は支配株主の持ち株比率を高め、支配権をさらに強固にするとともに、資本構造を最適化し、財務状況を改善するためである。これはフォルクスワーゲン(以下は「VW」)がJACおよび同社との新エネ車合弁企業である江淮VWの支配権をさらに強化するための措置とみられている。公開情報によると、現在、江汽控股はJACの株式17.15%を保有しているが、フォルクスワーゲン(中国)投資有限公司(以下「VW中国」)は江汽控股の株式50%を保有している。

株主割当増資が完了すれば、VW中国が保有するJACの株式が上昇すると同時に、同社との新エネ車合弁企業である江淮VWの株式もさらに上昇する。現在、VW中国は江淮VWの株式の75%を直接保有しているが、江汽控股を通じ、VW中国が保有する江淮VWの株式は77.14%に達する。

現在、VWは中国市場で一汽VWと上汽VWの2社の合弁会社を有しているが、これら2社の出資比率はいずれも江淮VWの出資比率を下回っており、このため、業界内では、江淮VWこそVWの中国における「実の息子」だと考えられている。

VWの計画では、2025年までに年間約150万台の新エネ車を販売する計画で、2025年までに新エネ車15車種の現地生産を実現し、製品ラインアップに占める電気自動車モデルの比率を35%に引き上げる。

VWは今年4月、中国で3カ所目となるMEB工場を安徽省に建設し、2023年に生産を開始する予定で、完成後は35万台の年産能力を持つことになる。一方、最近では、江淮VWがコードネーム「SE316/8」の新エネ車モデルの生産を計画していることが明らかになった。VWの内部情報によると、SE316/8はVW傘下のスペインブランドセアト(SEAT)の Cupra Tavascanモデルで、高性能のEV SUVという位置づけである。

 

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