Zeekrの米国上場とウォール街の謎めいた行動
吉利汽車傘下の新エネルギー車ブランド「Zeekr」は、5月3日、米国での上場を目前にしていることを発表し、50億ドル以上の評価額を目指しています。今回の上場計画は、中国企業が米国で発行した株式としては同社にとって2年余りで最大規模です。Zeekrは1株18ドルから21ドルで1,750万株の米国預託株式(ADS)を発行し、最大3.675億ドルを調達する計画です。吉利汽車、Mobileye、CATL(寧徳時代)などの既存株主や第三者投資家は、IPOの最大3.49億ドルのADS発行に応募する意向を表明しています。
Zeekrは2021年に設立され、2021年に中国版ナスダックの「科創板」への上場を試みましたが、政策変更を受けて撤回しました。2023年にZeekrはSECにIPO目論見書を提出し、ニューヨーク証券取引所への上場を計画して、その後、上場計画を一時的に棚上げしていました。2024年にZeekrは上場計画を再開しましたが、目標とする資金調達規模は最大5億ドルに大幅に引き下げられました。
Zeekrの今回の上場の目的は、その継続的な財務圧力と資金需要に対処することにあります。過去数年間、Zeekrは赤字に苦しんでおり、2023年の純損失は82.642億元に達し、売上高は増加したものの、損失規模は依然として巨大です。同社が直面する課題としては、中国のEV市場における激しい競争や新エネルギー車の価格競争の激化が挙げられます。Zeekrは上場により、資金調達ルートの拡大やブランド力の強化を図り、市場競争や資金圧力に対応する計画です。
Zeekrの今回の上場はゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどの主幹事によって共同で推進され、Zeekrの世界的な事業拡大とユーザーエクスペリエンスの向上を目指しています。
中国の電気自動車メーカーが米国での上場が許可されたことに疑問を持つ人は多いでしょう。中国の電気自動車の生産能力が過剰であり、世界市場にダンピングされている状況を考えると、その理由は理解しにくいからです。
このニュースは中米間の複雑な関係を浮き彫りにしています。中米間の関係が悪化している中、ウォール街が中国企業、特に中国のハイテック企業に資金を提供し続けていることが明らかです。資金調達や上場を通じて3億ドル以上が提供されることで、アメリカが中国の新エネルギー車産業を支援していることが示唆されます。そのため、ウォール街が中米競争の背景で依然として中国の産業に投資し続けることは、アメリカにとっても問題であり、深く考えて解決すべき課題です。