4月の乗用車市場、感染症の影響により過去最大の下落
5月10日、乗連会(全国乗用車情報連席会)が発表した最新の生産、販売実績によると、4月の乗用車生産、販売は前月比、前年同月比ともに減少した。うち小売台数は104.2万台と前年比35.5%減、前月比34.0%減となり、前年比と前月比の伸び率はいずれも同月として過去最低となった。4月の乗用車生産台数は、前年同月比41.1%減、前月比46.8%減の96.9万台にとどまった。
4月の生産台数が前月比、前年比ともに減少した主な原因は、全国各地で実施された厳しい防疫対策の影響であると思われる。港や貨物扱い業務の停止などにより輸入自動車部品が届かないほか、長江デルタに立地している国産部品サプライヤーは、操業停止や道路封鎖などによりタイムリーに部品の供給ができなかった。一部操業再開しても物流効率の低下や輸送時間がコントロールできないため、混乱を招いた。
特に上海は自動車部品供給のハブであり、全国80%以上の自動車部品が上海とその周辺で生産されているため、影響が大きかったと乗連会幹事長の崔東樹氏が説明したうえ、上海のオミクロン株の感染拡大とそれに伴う厳しい防疫対策により、同時期の乗用車販売を4割程度減少させたと推定した。
一方、4月の新エネルギー車は依然として好調を示し、前年同期比で大幅に増加した。データによると、4月の新エネルギー乗用車の小売台数は前年同期比78.4%増の28.2万台に達し、 卸売台数は同50.1%増の28.0万台であった。
パワトレ別にみると、EV乗用車の4月の小売台数は前年比63.3%増、前月比40.9%減の21万3千台に達した。プラグインハイブリッド乗用車の4月の小売台数は前年比148.1%増の7.0万台、前月比17.7%減であった。プラグインハイブリッドは前年同期比で非常に強い成長を実現しており、前月比もEV乗用車より落ち込み幅が小さい。背景は、EVメーカーの多くが上海に立地しており、影響を大きく受けたためである。ことに対して、プラグインハイブリッド乗用車メーカーは主に深センに立地しているBYDを代表とし、感染症やサプライチェーンなどの影響を受けにくかったと分析されている。
前出の崔氏は、感染症の影響がなければ、新エネルギー車が45万台の水準に届いたはずだとの見方を示した。即ちオミクロン株の感染拡大とそれに伴う厳しい防疫対策は、17万台の新エネルギー車の販売減を招いたと推定されている。