中国自動車販売、苦戦続く──上期に販売目標を達成した4S店はわずか27.5%、在庫圧力が深刻化

上半期の販売実績、目標達成はわずか27.5%の4S店にとどまる
CADA(中国自動車流通協会)が6月末に発表した「自動車ディーラー在庫警戒指数調査(VIA:Vehicle Inventory Alert Index)」によると、6月の在庫警戒指数は56.6%となり、前年同月比では5.7ポイント低下したものの、前月比では3.9ポイント上昇しました。依然として「警戒ライン(50%)」を上回っており、流通業界全体の景況感は悪化傾向にあります。
調査によれば、今年上半期に販売目標を達成または超過した4S店は全体のわずか27.5%にとどまり、残る72.5%は未達成でした。中でも16.3%の店舗は「90~100%」の範囲で目標に近づいていたものの、多くのディーラーが販売圧力に直面し、在庫リスクが顕著に高まっていることが明らかとなりました。
半期末の販売強化が在庫圧力を助長
6月は例年、メーカーとディーラーが半期の販売目標達成に向けて集中的に販促を強化する時期です。今年も「端午節」連休やECセール「6.18」、夏の旅行シーズン、大学入試終了に伴う買い替え需要などを背景に販売促進が進められました。
しかしその一方で、「以価換量(値引きによる販売拡大)」が継続したことにより、ディーラーの在庫水準は受動的に上昇。資金繰りの悪化を招くなど、経営リスクの高まりも指摘されています。
ブランド別・地域別の実績と課題
メーカー別では、上半期に最も目標達成率が高かったのはXpeng(小鵬汽車)で49.3%、続いてGeely(吉利汽車)が46.9%、Changan(長安汽車)が45.1%となりました。一方、NIO(蔚来)やVoyah(嵐図)など一部メーカーは30%未満にとどまり、年初に掲げた目標に大きく届いていないのが実情です。
地域別に見ると、在庫警戒指数は北部が60.2%、東部が54.9%、西部が62.7%、南部が49.6%と地域差が見られます。ブランド別では、輸入車・高級車、合弁、地場ブランドのいずれも指数が前月比で上昇しており、市場需要の鈍化が共通課題となっています。
7月以降も厳しい見通し──需要低下と在庫膨張のリスク
CADAは7月以降の市場についても厳しい見方を示しています。需要の前倒しや一部地域での悪天候、夏の消費低迷期が重なることで、市場需要は前月比で減少する見通しです。加えて、メーカーは引き続き卸売台数を増やす傾向にあり、ディーラーの在庫圧力はさらに増すと予測されています。
CADAはディーラーに対し、実需に即した販売計画の策定を呼びかけるとともに、「以旧換新(下取り促進)」「報廃更新(廃車による買い替え)」といった政策の活用や、サービス向上を通じて消費者の信頼回復を図り、経営リスクの回避に努めるよう提言しています。