中国の報復関税—本当に影響を受けるのはアメリカ車ではなくドイツ車?

2月1日、アメリカ政府は中国からのすべての輸入品に対し、10%の関税を課すことを発表しました。これに対し、中国政府は2025年2月10日から、アメリカ産の一部輸入品に追加関税を課すことを承認しました。具体的には、石炭や液化天然ガスの関税が15%に引き上げられ、原油、農業機械、大排気量の自動車、ピックアップトラックには10%の関税が課せられます。

米中双方の貿易関係を見ても、中国は圧倒的な貿易黒字を抱えていることから、今回の関税引き上げはアメリカに対する象徴的な対応の側面が強いようにも見えます。しかし、実際には自動車業界において最大の影響を受けたのはアメリカの自動車企業ではなく、ドイツの自動車企業でした。

統計データによると、2024年にアメリカから輸入された車両の販売台数を基準にすると、今回の関税措置で影響を受けるのは合計3.2万台に上ります。そのうち、アメリカブランドの車両は1862台(5.8%)に過ぎません。一方、ドイツブランドのメルセデス・ベンツやBMWは合計で3万台に達し、影響を受ける割合は94.2%に及びます。

アメリカ車はもともと中国市場における輸入比率が低いため、今回の関税引き上げの影響は比較的限定的です。影響を受けるのは主にリンカーン・ナビゲーター(2024年の販売台数681台)やゼネラルモーターズ(GM)のダランゴ、タホ、ユーコンなどの少数の車種にとどまります。しかし、メルセデス・ベンツのGLE、GLSシリーズやBMWのX6、X7、X5M、X6M、XM、X4などはアメリカで生産され、中国へ輸出されているため、これらのドイツ製高級SUVが今回の関税政策による「最大の被害者」となっています。

もちろん、メルセデス・ベンツのGLEやGLSの一部車種は排気量が2.5L未満であるため、今回の関税引き上げの対象外となることです。しかし、BMWがアメリカのスパータンバーグ工場で生産している車種の大半は排気量3.0L以上であり、これらの車両は10%の関税引き上げの対象となります。この結果、BMWにとってはアメリカから輸入されるX6、X7などのモデルの販売価格が大幅に上昇することが予想されます。

例えば、アメリカ製のメルセデス・ベンツGLE(申告価格50万元)の場合、関税が15%から25%に引き上げられるため、2025年2月10日以降に輸入される車両には7.5万元の追加コストが発生します。年間2万台を輸入すると仮定すると、メルセデス・ベンツGLEだけで約15億元の関税負担が増加する計算になります。

一方で、中国からアメリカへ輸出される一部車種も影響を受けています。フォード中国の関係者によれば、現時点では輸出業務への具体的な影響は明確ではなく、アメリカ側の関税政策にはまだ不確定要素が残っているとのことです。

総じて、この関税政策は中米間の貿易摩擦の延長線上にあるものの、その影響はアメリカ車だけにとどまらず、ドイツの自動車企業にも大きな打撃を与えていることが明らかになっています。

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