7月30日、ロシア連邦技術規制・計量庁は、東風（DONGFENG）、福田（FOTON）、一汽（第一汽車、FAW）、中国重汽（CNHTC）という中国の4ブランドの複数のトラックについて、輸入および販売を全面的に禁止すると発表しました。その理由として「安全上の脅威」が挙げられており、具体的には、ブレーキ性能の不足、走行時の騒音基準超過、シートベルトの取り付け不備、排出ガスの基準不適合などが指摘されています。2年以上にわたる交渉の末、ロシア側は中国車に対して制裁措置を下した形です。

この4社のトラックメーカーに対する販売禁止措置は、彼らにとって致命的な打撃となりました。今年上半期、今回禁止対象となったブランドが属する中型および大型トラックは、ロシア市場で合計27,966台を販売しており、トラック市場全体の27.6％を占めていました。

同時に、ロシア当局は他のユーラシア経済連合加盟国で認証を受けた東風、福田、一汽の一部車種についても、ロシアでの販売を禁止しました。この決定により、他国経由でロシア市場に進出する代替ルートも実質的に封じられることになります。

ロシアの監督当局は、関係企業に対して直ちにリコールを実施し、販売済み車両の安全上の問題を解消するよう求めており、これに従わなければ行政処分を科すと警告しています。現地ディーラーの試算では、リコールが必要な車両は2.5万〜3万台に達する可能性があります。

これらのトラックメーカーに加えて、8月1日に施行された2025年版の自動車廃棄税新制度も、中国車にとって新たな足かせとなっています。ロシアは昨年10月、輸入車に対する廃棄税を70～85％引き上げており、たとえば20万元相当の中国製車両に対する廃棄税は、6万元から15万元へと大幅に上昇しました。さらに2025年1月からは、廃棄税が毎年10～20％ずつ段階的に増加し、2030年まで続くことが決定しています。そして8月1日からは、さらに新たな廃棄税制度が施行されました。

新制度では、基本税率に加えて、ロシア国内での販売価格と海外での仕入れ価格の差額の50％が追加税として課されます。たとえば、10万元のコストで調達された中国製ピックアップトラックをロシアで20万元で販売する場合、追加税だけで5万元にのぼります。加えて、今年初めに実施された輸入関税の引き上げ（20％から38％へ）により、中国車メーカーの総合的なコストは30％以上増加しています。

さらに深刻なのは、ロシアの自動車認証制度が全面的に改革されたことです。7月以降、すべての輸入車両は、ロシア国内の試験機関で衝突安全性や排ガス性能などの重要項目について、強制的な試験を受けなければなりません。OTTC認証はユーラシア経済連合域内の試験所で実施することが義務付けられ、トルコやセルビアなどを経由した中国メーカーの「迂回認証ルート」も封じられました。メーカーは試験車両をロシアに運ぶ必要があり、認証期間はこれまでの6ヶ月から12ヶ月に延長され、コストも倍増しています。さらに厳しいのが経過措置で、9月30日までに認証を完了していない海上輸送中の中国製トラックは、強制的に廃棄される可能性があります。

加えて、ロシアは平行輸入ルートに対しても全面的な規制を強化しています。ロシア連邦税関庁は、中央アジア経由で転送される車両に対する検査体制を強化し、すべての輸入車両にGLONASS衛星測位システムの搭載証明書の提出を義務付けました。

統計によれば、ロシア市場における中国車の6割以上が平行輸入に依存しており、このライフラインが断たれたことで、販売体制は直ちに混乱に陥りました。新制度施行後、非正規ルートの輸入はほぼ停止し、法令遵守に必要な巨額のコストを負担できない多くの中小中国メーカーが、ロシア市場からの撤退を余儀なくされています。

2025年6月および上半期のデータによると、中国車の対ロシア輸出は、前年同期比でそれぞれ75％、62％減少しており、輸出先として最も大きな打撃を受けた市場となっています。これにより、中国車の最大輸出先であったロシアは、現在では第3位に転落しました。中国車メーカーの市場シェアは、2024年上半期の60％超から、2025年上半期の55％に急落しています。今後、欧米や日韓の自動車メーカーがロシア市場に復帰すれば、中国ブランドが再び市場シェアの50％を維持するのは格段に難しくなるでしょう。すでに100を超える中国ブランドのディーラーがロシアで閉鎖されており、中国メーカーがその深刻さを認識して、リスク管理に動き出していることがうかがえます。

ロシアの現地メディアは、中国ブランド車のこれまでの価格競争力は新たな規制により完全に失われたと分析しており、同時に「輸出品の逆輸入」などのグレーな取引にも大きな打撃を与えることになるとしています。