中古車市場で拡大する「まとめ売り」──新エネルギー車は消耗品化、半年で半値、事故車も増加

近年、中国では自動車の「買い替え促進」や「廃車補助」などの政策が相次いで打ち出されており、新車販売は前年比で11%以上の成長を続けています。一方で、これらの施策により中古車の市場流入も急増しました。2025年上半期の中古車取引台数は957.01万台に達し、前年同期比で約2%増、取引総額は6,000億元を超えています。増え続ける在庫を消化するため、オークションという販売形式が市場で急速に浸透しています。
ガソリン車は単体、新エネルギー車は「まとめ売り」
中国競売業協会副会長で車両委員会主任の韓涛氏によりますと、現在ガソリン車は1台ごとに競売されることが多いのに対し、新エネルギー車(NEV)は複数台をまとめて販売する「まとめ売り」が主流になりつつあるといいます。1つのパッケージには十数台から千台以上が含まれる場合もあり、年式や車種もほぼ同一です。
韓氏はその理由について、「近年、配車サービス企業が大量の新エネルギー車を保有し、更新サイクルが非常に短い。こうした車両が一斉に入れ替えられる際、大量にオークション市場へ流れ込む」と説明しています。
2024年のデータでは、ガソリン車の成約台数が111万台を超え、市場全体の9割を占めています。ガソリン車は依然として中古車オークション市場の中心的存在です。また、プラグインハイブリッド(PHEV)の取引シェアも上昇しています。
価格下落が進行、新エネルギー車の値崩れがより深刻に
「2024年中国自動車オークション市場年報」によりますと、2024年の自動車オークションにおける平均成約価格は1台あたり4万元で、前年より11%以上下落しました。取引金額の伸びは台数の伸びに追いついていません。
新車価格の下落に伴い、中古車の価格帯も二極化が進行しています。成約価格5万元以下の車が全体の約79%を占める一方、20万元超の車はわずか2.4%にとどまりました。
車齢別では、6年以上の車両が全体の7割を占め、そのうち10年以上が37.9%に達しています。これが平均価格を押し下げる大きな要因となっています。車齢別の平均価格は、3年未満が9万元、3~6年が5.58万元、6~10年が3.58万元、10年以上では2.14万元まで下がっています。
パワートレイン別では、ガソリン車が3.87万元、BEVが4.64万元、PHEVが6.11万元です。いずれも前年より値を下げ、特にPHEVの下落率は約28.9%と最も大きくなっています。
韓涛氏は、「全体としては新エネルギー車の流通量はまだ少ない。今後の普及拡大に伴い、市場への流入は急増し、取引形態も現在のようなまとめ売りから、ガソリン車と同様に単体オークションへ移行する可能性もある」との見方を示しています。
「消耗品化」する新エネルギー車──半年で値崩れ、1年で半額に
業界関係者の間では、「新エネルギー車はもはや日用品のように消耗品化している」との声も上がっています。専門家によりますと、新エネルギー車はガソリン車に比べて修理費用が3万~5万元に及ぶ「中~大規模事故」が発生しやすく、これが補償額の上昇とオークション市場拡大の一因になっているといいます。
一部の新エネルギー車オーナーは、「購入から1年で価格が半分になる。とても耐えられない」と不満を漏らしています。モデルチェンジのサイクルが短く、競争が激しいうえ、バッテリーの劣化や技術更新の早さも保値率の低下を加速させています。
事故車オークション市場も拡大へ
また、事故車のオークション市場も着実に拡大しています。中国競売業協会のデータによりますと、2019年から2024年までの一般事故車オークション取引量の年平均成長率は27%に達しました。2024年の成約台数は53万台に上り、2029年には倍増の104万台に達する見通しです。このうち、通常事故車が約47.7万台、洪水など特殊災害による事故車が約5.6万台を占めています。
特に電気自動車の事故車オークションは伸びが著しく、2020年には2,300台に過ぎなかったものの、2024年には1.8万台へと急増し、2029年には5万台規模に達すると予測されています。業界専門家は、「新エネルギー車市場の急成長と事故の多発が、事故車オークションの拡大を後押ししている」と分析しています。