2022年まで延長される新エネルギー補助金政策は30万元のハードルを設けるも、テスラはなぜか逆に値上げ
4月23日、財政部、工業・情報化部、科学技術部、発展改革委員会は「新エネルギー自動車の普及応用財政補助政策の整備に関する通知」(以下、「通知」)を発表した。新エネルギー自動車補助金政策を2020年から2022年まで延長し、原則として2020-2022年の補助金基準をそれぞれ前年比10%、20%、30%減とする。この通知は公布即日(2020年4月23日)から実施され、移行期間は2020年7月22日までとなっている。 このほか、補助金支給対象を30万元以下の新エネルギー自動車とし、年間補助金支給の上限は200万台までなどのハードルを初めて設けた。
一般的に30万元台は、高級車(テスラやBMWなど)との境界線であり、そのクラスの車を購入するのはミドルクラス以上の所得層に属するユーザーだ。一方、30万台以下はエコノミーとミドルクラスに分類されており、購入者は一般庶民だといわれている。政府は、補助金は一般庶民にエコノミークラスの新エネ車を買うために使うべきだというスタンスをとっており、販売価格が30万元以下というハードルを設けたとみられている。
「30万元というハードルはテスラを制限するために設けられたものと思われるが、テスラに値下げの理由と必要性を与えている。Model 3ベーシック版は価格を30万まで引き下げ、補助金を受け取ると27万元強になる。最終的にはテスラも補助金を享受することになるが、テスラの価格引き下げは20-40万の地場ブランドに打撃を与える。このような簡単なシナリオは誰も予想できるだろう」と理想汽車の李想CEOはSNSでこう語っている。
小鵬汽車の何小鵬CEOは、「国産Model 3長航続距離版の補助金は、年内に27万7500元まで値下げされる見込みで、現在の価格33万9000元から6万1500元値下げされる」と公言した。「この価格では、15-40万元の価格だった電気自動車にとってプレッシャが大きくなり、各社は対応が必要だ。しかし、値下げは消費者に有利で、市場全体にとってメリットが大きい」と述べた。
しかし不思議なのは、26日、テスラ中国がModel 3の販売価格を引き上げたことだ。公式サイトによると、国産Model 3のベーシックアップデート版の販売価格はそれぞれ4500元と5000元上昇し、Model 3ベーシックアップデート版の補助金後の販売価格は30万3550元、長航続距離版は34万4050元だ。来年1月に発売される高性能版の販売価格は変わらず、41万9800元となる。
ある証券会社のアナリストは、「今年7月までに補助金移行期間後の新補助金政策が正式に実施され、テスラはその時点で値下げを発表する可能性が高い」と指摘したうえ、現在、テスラの供給は需要に追いつかず、値上げすれば駆け込みで今後の値下げによる損を取り戻すことができると見ている。