中国政府、改定「節約条例」を発表:公用車に国産・NEVを優先採用へ

5月18日、中国共産党中央委員会と国務院は、改定版の「党政機関による厳格な節約および浪費反対条例」(以下「条例」)を発表し、各地域および各部門に対して厳格な履行を求めました。新たに発表された「条例」では、公務用車両の管理および調達に関する方針が示されており、「政府による集中調達を通じて、原則として国産車を選定し、新エネルギー車(NEV)を優先的に採用すべき」とされています。
また、党および政府機関の政務情報システムについても、統一的な計画と実施を行い、無駄な重複構築や頻繁なアップグレードを避けることが定められました。システム間の情報共有および業務連携を推進し、ソフトウェアの開発・メンテナンス・アップグレードにかかるコスト削減を目指しています。
特に公務用車両に関しては、以下の方針が定められています:
- 統一された編成、基準、経費、管理に基づく調達
- 政府による集中調達により、国産車を選定し、新エネルギー車を優先
- 原則として、定められた使用年数を超えるまで更新を行わず、職務異動や昇進を理由とした早期更新は禁止
- 保険、整備、燃料も政府による集中調達とし、運用コストの抑制を図る
このような方針は、昨年10月に出された「中央および国家機関におけるNEV普及推進に関する通知」とも連動しており、新規導入および更新される公用車の30%以上をNEVとすることが原則とされています。
この方針が発表されると同時に、SNSでは早くも「実際にどの車種が採用されるのか」が話題となっています。中でも多く言及されたのが、比亜迪(BYD)の「漢(Han)」です。
BYD漢はすでにラオスの首相府やオーストリアなどで公用車として採用された実績があり、信頼性と実績を兼ね備えたモデルとされています。また、BYDは中国国内各地に複数の工場を持っていることから、地方政府にとっては地元産業支援という観点からも、優先的に採用される可能性が高いとみられています。
ただし、現行の公用車には「価格は18万元以下」とする制限があるため、BYD漢や小鵬(Xpeng)のSU7、ファーウェイ系の享界S9などは対象外となる可能性も指摘されています。
さらに、BYD漢は中国国内では「ライドシェア車としてよく使用されている」という印象が強く、公用車としての格や印象に対して否定的な意見も根強く存在しています。
こうした背景を踏まえ、より現実的な選択肢として、以下のようなモデルが有力とみられています:
- 東風奕派007
- 深藍(Deepal)L7
- 極狐(ARCFOX)阿爾法S5
- 五菱星光(Wuling Starlight)など
これらはいずれも国有企業系列のブランドであり、かつ地方に生産拠点を持つことから、政策の趣旨に合致していると評価されています。