中国の電気自動車がタイ市場に迅速に進出、日本車の市場主導地位を揺るがす
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2024年、中国の複数の大手自動車メーカー(BYD、長安、GWM〈長城〉など)が次々とタイ市場に進出しています。自動車産業だけでなく、家電や電子部品メーカーもタイに生産拠点を設けており、中国企業のタイでの存在感が一層強化されています。
日経新聞の報道によると、2024年のタイへの外国直接投資(FDI)の申請額において、中国は1746億バーツを占め、前年比で10%増加しています。また、中国籍の従業員に対する労働許可証の発行数は4万人に達し、初めて日本を超えたことから、中国企業のタイでの影響力が急速に強まっていることがわかります。
タイ東部のラヨーン県やチョンブリ県は、中国企業にとって重要な拠点となっており、多くの中国自動車メーカーがここに工場を設立しています。その中でも、BYDの電気自動車工場は特に注目されています。2024年7月、BYDはタイで初めての電気自動車工場を稼働させ、これは同社にとって東南アジア初の電気自動車工場でもあります。BYD会長の王伝福氏は、2022年に同社が正式にタイ市場に進出したことを明かし、現在、タイの新エネルギー車市場でのシェアは41%に達しており、販売される電気自動車の3台に1台がBYD製であると述べています。2024年12月に開催されたタイ国際自動車展では、BYDは7042台の予約数で2位に入り、トヨタの8297台に次ぐ結果となり、タイ市場での強力な勢いを示しました。
市場では、近年、石油価格の急激な上昇により、タイの消費者にとって車両の使用コストが高止まりしています。これは中国市場と似ており、ますます多くの消費者が使用コスト削減のために電気自動車を選ぶ傾向にあり、中国の電気自動車がそのニーズを満たす形で急速に販売を拡大しています。
長年にわたり、タイの自動車市場は日本ブランドが支配しており、特に商用車分野では、トヨタ、日産、ホンダなどの日本車メーカーがタイ市場の約90%を占めていました。しかし、最近の中国の電気自動車の急成長により、伝統的な日本車の「牙城」が揺らぎ始めています。