2026~2027年度NEVクレジット制度が正式施行、自動車メーカーは航続距離と電力消費効率の二重の課題に直面

今年1月2日より開始された「2026~2027年度の乗用車企業における平均燃料消費量および新エネルギー車(NEV)クレジット管理に関する要件(意見募集稿)」の公開意見募集が2月5日に終了し、中国工業情報化省が定めた新要件が正式に施行されました。その中でも、NEVクレジット比率の引き上げ、低温環境での航続性能、および電力消費効率とクレジットの関連付けが重要な指針となっています。
NEVクレジット比率の引き上げ
新規則では、今後数年間のNEVクレジット比率の増加目標が明確に示されています。2026年には48%、2027年には58%と設定されており、毎年10ポイントずつ引き上げられます。この調整幅は前回の段階と同様ですが、クレジット比率の大幅な増加により、自動車メーカーはNEV製品ラインナップの拡充を加速し、ますます厳しくなる適合要件に対応する必要があります。
NEVクレジットは「ダブルクレジット制度」の中核を担い、平均燃料消費量クレジットとともに、企業の適合状況を決定する重要な指標です。クレジットの計算方法は、車両の種類や技術パラメータに基づいて設定されており、例えば以下の通りです:
- 純電気自動車(BEV)のレジット計算式:0.012R + 0.8(Rは航続距離)
- プラグインハイブリッド車(PHEV)の標準クレジット:2
- 燃料電池車(FCEV)のレジット計算式:0.16P(Pは燃料電池の定格出力)
NEVクレジット比率の引き上げに伴い、自動車メーカーはNEVの生産量を拡大する必要があり、多くの従来のガソリン車メーカーはすでにNEVの生産能力拡大計画を策定し、新工場の建設や生産ラインのアップグレードを加速させています。
低温環境での航続性能向上と電力消費効率管理の強化
NEVの低温環境での航続性能は、長年にわたり消費者の関心が高い課題の一つでした。冬季になると、気温が低下することでバッテリーの化学反応速度が遅くなり、内部抵抗が増加するため、航続距離が大幅に減少する傾向があります。この問題を解決するため、工業情報化省は今回の新規則で低温環境での航続性能に関するクレジット制度を導入し、低温時の航続距離減衰率が35%以下の車両には1.2倍のクレジットを付与することを決定しました。これにより、メーカーには低温時の航続性能向上のための技術開発が求められます。
同時に、電力消費効率に関するクレジット制度も導入され、メーカーにはより厳格な基準が課されます。新規則では、新国標(中国の国家基準)で定められた電力消費効率値の85%を目標値とし、これを基準にクレジットを算出します。具体的には:
- 目標値を満たさない車両:調整係数は0.5倍に設定
- 目標値を超える車両:目標値と実際の電力消費効率の比率に応じて計算され、最高1.2倍のクレジット付与
- 目標値を超過したが、基準値を満たさない車両:1倍のクレジット付与
例えば、ある車両の規定値が100kmあたり10kWhの場合、目標値は8.5kWhに設定されます。メーカーがこの車両の電力消費を8.5kWh以下に抑えることができれば、1.2倍のクレジットが付与されますが、逆に10kWhを超える場合は、クレジット係数が0.5に半減し、メーカーのNEVクレジット獲得に影響を与えることになります。
政策推進による市場変化
過去数年間、中国政府のNEV推進政策により、中国のNEV市場の浸透率は着実に上昇しています。中国自動車工業協会(CAAM)のデータによると、2024年のNEVの新車販売における浸透率は40.9%に達し、7月から11月にかけては50%を超える月も続出しました。
今回のNEVクレジット新規則は、中国の自動車産業にとって大きな転換点となります。特に、低温航続性能や電力消費効率に関する要件の強化は、メーカーに対してさらなる技術開発のプレッシャーを与え、市場競争の激化を促進するでしょう。メーカーが政策の変化に適応し、NEV技術の開発を加速させることが、今後の市場競争での生き残りのカギとなります。