衝突試験成績がゼロ星、低価格小型EVの安全性が懸念される

ブラジル、チリ、ペルー、メキシコ、ドミニカなど、中南米、カリブ諸国で販売される車両を対象とした自動車アセスメント機構のLatin NCAPはこのほど、今年最後の衝突試験の結果を発表した。今回の試験には中国地場メーカーのJAC(江淮)E10Xという低格小型EVが含まれ、このJAC E10Xはゼロ星の成績を与えられたことで、ネット上で大きな波紋を呼んでいる。

E10XはLatin NCAPが試験した最初の電気自動車で、これはメキシコでタクシーとして使用されているという。E10Xの中国国内で「思皓E10X」と呼ばれ、2021年3月に発売され、現在の販売価格は5-7.6万元の小型EVである。メディアの報道によると、今回のテストでは、E10Xは大人乗員の安全指標で0%、子供乗員の安全指標で6%、歩行者保護と道路利用弱者の安全指標で20%、安全サポート指標で7%の得点を獲得し、最終的にゼロ星の格付けとなった。

一部のメディアがLatin NCAPの具体的な評価指標を分析したところによると、この機構は安全性を評価する時、エアバッグの占める割合が比較的大きく、またアクティブセーフティ(予防安全)装備が占める割合も比較的大きいことが分かる。対して、E10Xの標準装備は2つのエアバッグのみである。

JAC E10Xだけではなく、小型EVにはほとんど安全性の問題がある。2020年7月に発売され、一気に人気モデルとなった上汽GM五菱の小型EV「宏光MINI EV」も、エアバックを搭載したのは運転席のみで、自主席はエアバッグなしということで、安全装備の「手抜き」と指摘されいる。

今回JAC E10Xのゼロ星騒動は、いかにコストと安全性のバランスをとるかを巡る議論を再び引き起こしている。

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