トランプ氏再登場!2024年大統領選勝利が中国自動車産業に与える影響
11月6日、アメリカ前大統領で共和党候補のドナルド・トランプ氏は、2024年の大統領選挙に勝利したと宣言しました。ここ最近、アメリカの両党は自動車業界について頻繁に言及しており、この分野は選挙において票を集める重要なツールの一つとなっています。経済メディア「第一財経」は、トランプ氏の当選と彼の政策が、特に中国の自動車産業を含む世界の自動車業界に与える影響について分析した記事を掲載しました。
まず、記事では、選挙戦中にトランプ氏が伝統的な内燃機関車産業の保護を強調し、バイデン政権の電気自動車(EV)への補助金政策を批判していたことに言及しています。彼は当選後、内燃機関車産業やアメリカの製造業を支持し、雇用を増やすことを再び約束しました。業界の観点からは、トランプ氏の政策は特にEV市場に不利とされています。アメリカのEV市場は成長しているものの、電動化の進展は比較的遅れており、トランプ氏がEV補助金を廃止すれば、その進行がさらに遅れる可能性があります。
次に、記事では、トランプ氏が中国の自動車メーカーによるアメリカ国内での工場設立に柔軟な姿勢を見せていることについて述べています。彼は複数の場面で中国の自動車メーカーの米国進出を歓迎する意向を示していますが、条件としてアメリカ人労働者の雇用を求めており、中国車の完成車がアメリカ市場に直接入ることには否定的です。注目すべき点として、トランプ氏の政策はEV業界全体には不利ですが、テスラなど一部の競争力を持つ企業には、補助金がなくても優位性を維持できる可能性があると見られています。
また、トランプ氏が提唱する関税政策が中国の対米自動車輸出に与える直接的な影響にも触れられています。従来から中国製のEVは高関税の対象でしたが、最新の301条項に基づき、EVやバッテリーなど中国製品に対する関税が大幅に引き上げられ、EVの関税は25%から100%に増加しました。
ただし、完成車の輸出に関しては、現在アメリカ向けの中国車の輸出量は少ない状況です。中国税関のデータによれば、2023年の中国のEV輸出は177.3万台に達し、前年比67.1%増となった一方で、アメリカ向けの輸出量は1.25万台にとどまっており、主にテスラ上海工場などの米国メーカーからの輸出が主体です。このため、関税の引き上げが中国の国内メーカーに与える直接的な影響は限定的と見られています。
しかし、記事では、トランプ氏がヨーロッパやメキシコからの輸入車に高関税を課す計画を表明している点が、中国を含む複数の国の自動車業界に打撃を与える可能性があると指摘されています。今年10月、トランプ氏はシカゴ経済クラブでの講演で、ヨーロッパやメキシコからの輸入車に高関税を課す方針を示しました。特にメキシコは中国企業にとって北米市場進出の足掛かりとされており、BYDはメキシコで10億ドルの電気自動車工場建設を計画しているとの噂が広がっています。今年5月にはBYDの初のピックアップトラック「BYD SHARK」がメキシコで発表され、SAICのMGブランドやCheryなどの中国地場メーカーもメキシコでの工場設立計画が報じられています。公開データによると、中国のA株上場の自動車部品企業は20社以上がすでにメキシコに進出しており、そのうち16社は2023年の海外売上比率が30%を超えています。
中国自動車業界がメキシコにサプライチェーンを構築するのは、「米墨加協定」を利用してメキシコを足場にアメリカ市場に参入するためですが、トランプ氏の発言によりメキシコからアメリカへの自動車輸出に重税がかかれば、この戦略は弱体化し、中国企業のメキシコへの投資意欲も減少する可能性があります。
加えて、メキシコは現在、中国にとって第2位の自動車輸出国でもあります。2024年1~9月のデータによると、メキシコへの輸出台数は35.34万台に達し、上位2位となっています。今年初め、フォードのCEOであるジム・ファーレイ氏は「メキシコで販売される全車両の25%が中国製だ。世界は変化している」と述べました。全体として、トランプ氏の政策はメキシコ向け輸出にも直接的な影響をもたらすでしょう。
同時に、トランプ氏の政策は、メキシコに製造拠点を持つ欧米自動車企業にも悪影響を及ぼす可能性があります。多くの欧米ブランドがメキシコをアメリカ輸出の重要な生産拠点と位置付けています。
記事は最後に、中国の自動車メーカーが関税や市場参入の課題に直面する中で、ブランド価値の向上、現地化およびグローバルな展開を強化する必要があると提言しています。特にヨーロッパや東南アジア市場に注力し、国際市場の複雑な情勢に対応することで、長期的かつ安定した発展を確保すべきだとしています。