ネクスペリア巡り判断維持 調査拡大に中国側は冷静対応、供給網安定を優先

2月11日、オランダのアムステルダム企業法廷は、ネクスペリア(Nexperia、中国名:安世半導体)をめぐる案件について最終判断を示しました。法廷は従来の判断を維持し、同社に対して講じられてきたすべての暫定的な管理措置を変更しないと決定しました。同時に、同社に「ガバナンス上の問題」の疑いがあるとして、正式な調査手続きの開始を認めました。
これにより、2025年10月以降に実施されている一連の暫定措置――中国籍CEOである張学政氏の職務停止および欧州側暫定経営チームの続投容認――が引き続き維持されます。法廷はさらに、独立した調査員2名を任命して調査を進める方針を示し、調査対象は現行の暫定経営陣の行為にも拡大されました。調査期間は数か月に及び、半年を超える可能性もあると見込まれています。
ネクスペリアはオランダの大手半導体メーカーです。2017年にNXPセミコンダクターズから独立し、現在は中国の聞泰科技(Wingtech Technology)傘下にあります。同社製品は車載電子分野で幅広く使用されており、車灯システム、エアバッグ、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)など、車両の基本機能を支える用途が中心です。2025年9月、オランダ政府が「国家安全保障」を理由に同社経営へ介入して以降、支配権をめぐる争いは世界の自動車向け半導体供給網にも波及し、複数の自動車メーカーの生産計画に影響が生じたとされています。
オランダ政府による経営介入後、中国外交部は本件について、問題の根源はオランダ側による企業経営への不適切な行政介入にあるとの見解を示し、中国企業が法に基づいて正当な権益を守ることを引き続き支持するとして抗議していました。当時、中国国内では、中国側がオランダへの圧力を強め、最終的には事態が正常化するとの期待もありました。しかし、5か月が経過した時点でオランダ側が示した結論は、従来判断の維持、凍結措置の継続、さらに調査範囲の拡大というものでした。
さらに注目されたのは、この裁決に対する中国側の反応が、これまでになく冷静だった点です。中国商務部は2月13日にコメントを発表し、オランダ側に歩み寄りを求めるとともに、世界の半導体産業チェーンおよびサプライチェーンの安定維持という大局的観点から、当事者企業が協議を通じて建設的に内部紛争を解決できる環境を整えるよう促しました。同時に、当面の最優先課題は世界の半導体供給網の安定と円滑な運行の回復であり、これは中国とオランダを含む国際産業界に共通する利益であるとも強調しました。
ネクスペリアの親会社である聞泰科技は、裁決公表後に声明を発表し、結果について「極めて失望しており、強い不満を抱いている」と表明しました。同社は、公正かつ透明性のある調査であれば恐れるものではないとしたうえで、法的手段を通じてネクスペリアに対する完全な支配権およびガバナンス権の回復を引き続き求めていくとしています。
同社によれば、調査期間中もネクスペリアに対する支配権は引き続き制限され、調査期間も不確定な状況にあります。その影響として、同社は大規模な投資損失および資産減損の計上を見込んでおり、2025年度の親会社株主に帰属する純利益は900億元から1,350億元の赤字となる見通しを示しました。あわせて、同社の信用格付けは「A」へ引き下げられ、見通しは「ネガティブ」とされています。
一方、ネクスペリアは裁判所の調査命令に全面的に協力する姿勢を示しており、当面の最重要課題は安定した事業運営を維持し、世界の顧客への供給を継続することであると強調しています。