Nexperia問題でオランダが行政指令を一時停止 協議進むも司法判断は残存、対立解消には距離

オランダのカレーマンス(Vincent Karremans)経済大臣は19日、声明を発表し、Nexperia(安世半導体)に関する「物品供給法」に基づく行政命令を停止すると表明しました。

カレーマンス氏は、最近の情勢を踏まえ、建設的な措置を講じる適切な時期に来ていると判断したと述べました。オランダと中国政府は建設的な協議を行い、オランダ政府は、中国政府が欧州およびその他の地域へのチップ供給を確保するために講じた措置を評価するとしています。

同日夜、中国商務部報道官はNexperia関連の問題について記者の質問に答え、中国側はオランダ側が自発的に行政命令を停止したことを歓迎し、これは問題を適切に解決する方向へ踏み出した第一歩だと評価しました。しかし、世界の半導体サプライチェーンの混乱を引き起こした根源である「行政命令の撤回」には、まだ距離があると指摘しました。

また、オランダ経済省の主導で企業法廷が下した、Wingtech(闻泰科技)によるオランダ・Nexperiaの支配権を剥奪する誤った判決は、依然として問題解決を妨げる主要な要因であるとも述べました。

10月30日、韓国での米中首脳会談を通じて、Nexperiaの中国工場からの輸出再開を含む一時的な貿易合意が成立し、11月1日には中国商務部がすでにNexperia中国工場に対する輸出規制を解除すると表明しました。しかし、この一文は、オランダ側が態度を変えない場合、中国がチップ供給停止を再び行う可能性があることを示唆しています。11月18日と19日には、中蘭両国の政府部門が北京でNexperia問題に関する2回の対面協議を実施しました。カレーマンス氏の声明は、これら協議の結果と理解することができます。

カレーマンス氏の声明には、注目すべき表現が2つあります。1つは「停止(suspend)」という言葉です。「停止」は、いつでも「再開」し得ることを意味し、中国商務部がNexperiaへの輸出規制を「停止」した措置に対する応答であるとみられます。「停止」という表現を使うことで、依然として権限を保持していることを示唆したとも受け取れます。数日前、カレーマンス氏が中国との協議に向けて代表団を派遣する直前には、メディアに対し「仮にもう一度決定を下すとしても、(Nexperiaを強制的に接収する)判断は変わらない」と強硬姿勢を示していました。

もう1つ注目すべき表現は「Nexperiaに対する行政指令」です。この「指令」(Order)とはどれを指すのか。オランダによるNexperiaへの介入には2つあります。第1は、経済・気候政策省が「物資供給法」(goods availability act)に基づき9月30日に発出した大臣令で、Wingtechが支配するNexperiaの資産・人事調整権限を1年間凍結したものです。第2は、Nexperiaの経営陣が裁判所に提訴し、張学政CEOの職務を停止させ、Wingtechの保有する99%の株式を第三者に信託させるという判決です。

声明の「Nexperiaに対する行政指令」は、明らかに第1の大臣令を指します。第2の介入は裁判所の判断であり、政府声明の対象にはならないためです。したがって、中国商務部が回答の中で「企業法廷がWingtechのオランダ・Nexperia支配権を剥奪した誤った裁決は、依然として問題解決の鍵を阻んでいる」と述べたのは、張学政CEOの解任および株式の第三者信託に関する裁判所の判決が依然として有効であることを指しています。

このため、オランダ政府が「Nexperiaに対する行政指令」を停止したとはいえ、Nexperiaをめぐる両国間の対立が本質的に解消される見通しは、現時点ではまだ立っていないとみられます。

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