ロボトラックスタートアップ企業のTuSimple、FBIとSECから捜査を受ける
ロボトラックスタートアップ企業のTuSimple(中国語名は「図森未来」)は10月31日、同社の取締役会が最高経営責任者(CEO)兼社長兼最高技術責任者の侯暁迪氏を解任し、取締役会会長と政府安全委員会メンバーを2022年10月30日から解任したと発表した。
TuSimpleは、中国と米国の両国で同時にワーキングオフィスを設置したロボトラック開発企業で、2015年9月に設立された。TuSimpleは当初、米カリフォルニア州サンディエゴと中国北京で創業し、その後上海、河北省、米アリゾナ州に発展し、この5地域に研究開発応用センターを設立した。
今年3月に、米国政府が安全保障上の懸念から中国からのデータアクセスへの制限を強化したため、TuSimpleは中国での事業売却と米国市場への注力を決めた。
TuSimpleの創業者の一人である侯暁迪氏は、上海交通大学コンピュータ科学・工学科を本科で卒業し、その後カリフォルニア工科大学コンピュータ・神経システムの博士号を取得した。彼は国際的に有名な人工知能、機械学習、コンピュータビジョンの専門家で、自動運転分野の特許を23件保有し、コンピュータビジョン分野で視覚的顕著性マップの計算モデルの理論を開発した。
侯暁迪氏が解任された原因は、TuSimpleの資金や技術を外部に提供した疑いがあったためである。
侯暁迪氏のほかに、今年上半期に別のスタートアップ企業の「Hydron」を立ち上げたTuSimple共同創業者の陳黙氏がいる。陳黙氏は2015年から2020年9月までTuSimpleのCEOを務めていた。陳黙氏によって今年6月に正式に設立されたHydronは、L4クラスの自動運転機能を搭載できる水素燃料大型トラックの研究開発、設計、製造、販売に特化したメーカーであるが、不思議なことに自動運転技術を開発していない。
ある関係筋によると、TuSimple社がHydron社に不適切な資金提供や技術移転を行ったかどうかについてFBIとSECからの捜査を受けており、特に侯暁迪氏が、TuSimpleとHydronの関係を適時に開示しなかったことで信認責任と証券法に違反したかどうかを調べている。同時に、海外のライバル企業に価値ある技術を提供することでTuSimpleの投資家を欺いたかどうかについても調査している。